研究
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病原性レンサ球菌の病態発症機構の解析
川端 重忠(歯学研究科)
取組要旨
この取り組みでは、以下の3つの研究成果が得られている。1)分子進化解析により推察された肺炎球菌の進化的に保存された分子が、肺炎発症に寄与する病原因子として機能することを明らかにした。2)B 群レンサ球菌のシアル酸分解酵素様分子 NonA が、進化の過程でシアル酸分解能を失ったことを示した。3)化膿性レンサ球菌が上皮バリア機能に重要なトリセルラータイトジャンクションから宿主組織に侵入する現象と分子機構を明らかにした。
以上の研究成果は、上記細菌に対する薬剤標的を発見する新たなアプローチにつながるものであり、国際社会に与えた意義は大きく、歯科基礎医学会から学会奨励賞を、日本細菌学会から黒屋・奨学賞を受賞するとともに、一流国際誌であるCommunications Biology誌にその内容が掲載されている。
また、本業績の社会的意義は国際的に注目を浴び、6 つの欧米の科学系ニュースサイト、1 つのインド系医療科学系ニュースサイト、1 つの日本の医療ニュースサイトにて研究成果が報道された。さらに、Clarivate Analytics 社が発行しているバイオ医薬品業界の最新ニュースを取り扱う Bioworld Science でも紹介された。
研究成果・インパクト
本研究成果は、肺炎球菌、B群レンサ球菌および化膿性レンサ球菌がもたらす「いのち」に直結する感染症に対する革新的な治療法や創薬に繋がる可能性が高い。すなわち、2030年までの感染症の根絶に大きく寄与し、地球上のあらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活の確保と福祉の促進に貢献するものと期待される。
担当研究者
川端 重忠(歯学研究科)
キーワード
感染症、病原性レンサ球菌、肺炎
応用分野
医学、健康、福祉