研究

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核融合炉用構造材料低放射化フェライト鋼の溶接技術の確立

森 裕章(工学研究科)

  • 理工情報系
  • 工学研究科・工学部

取組要旨

核融合発電は、(1)現在の原子力発電のような核分裂連鎖反応による暴走がない、(2)海水からの燃料供給が可能であるため実質的に資源は無尽蔵、(3)発電効率が極めて高い、(4)電力の安定供給が可能、(5)温室効果ガスの排出がない、(6)高レベル放射性廃棄物が出ない、といった特長を持つ次世代型エネルギー源として注目されている。現在、フランスに国際熱核融合実験炉(ITER)が建設中で、本研究は、このITERに関する国際共同研究における我が国の窓口となっている量子科学技術研究開発機構(量研機構:QST)と協力し、核融合炉用(とくに炉体内に設置される核融合反応エネルギーを熱エネルギーに変換して取り出すためのブランケットと呼ばれる装置用)の構造材料として新たに開発された低放射化フェライト鋼(F82H)の溶接技術の確立を目指すものである。これまで各種検討を実施し、欠陥の無い健全な溶接継手の作製方法や、溶接施工後に装置としての性能を維持するための熱処理方法など、研究成果に基づく様々な提案を行ってきている。とくに、溶接用の材料(溶加材)の成分設計に対し、当研究室からの研究成果が大きく貢献しており、高温割れ感受性評価指標(BTR)に関する検討結果を基に、Taという成分の含有量を0.08%以下に抑えた溶加材が採用されるに至った。

研究成果・インパクト

核融合炉用構造材料である低放射化フェライト鋼F82Hの溶接技術が確立し、核融合発電が実現した暁には、極めて高効率な発電が可能となるだけでなく、温室効果ガスの排出が著しく低減され、地球温暖化の抑制に大きく寄与することになる。また、この発電方式では、電力の安定供給はもちろんのこと、基本的には海水中から燃料が採取できるため資源は実質的に無尽蔵といえ、核分裂のような連鎖反応による暴走もなく、高レベルの放射性廃棄物も出ないことから、地球に優しく、人々に安全と安心をもたらすものと考えられる。

担当研究者

森 裕章(工学研究科)

備考

核融合発電は、温室効果ガスの排出が無いクリーンな発電技術というだけでなく、その実現自体が技術革新であることは言うに及ばず、高効率での電力の安定供給による産業の活性化、高レベルの放射性廃棄物を出さないことによる人々の安全・安心の確保など、SDGsの実現に向けた数多くの利点を有する夢の発電技術であることを付記する。

キーワード

核融合発電 核融合炉 低放射化フェライト鋼 溶接

応用分野

クリーンエネルギー 脱炭素社会