教育

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がん専門医療人材養成プログラム 先端医学物理コースⅠ(医療技術系修了者コース)/先端医学物理コースⅡ(理工系修了者コース)

  • 医歯薬生命系
  • 医学系研究科・医学部(保健学専攻)
  • 大学院生(博士前期)

授業科目など要旨

がんの放射線治療で重要となる放射線腫瘍学、放射線物理学、放射線生物学を総合的に学ぶことのできるカリキュラムを組んでいる。特に、放射線物理学は放射線腫瘍医で対応できない部分を多く含んでおり、この部分の講義や実習に重点を置いたカリキュラムを組んでいる。単に一方方向でなく、議論形式により、論理的思考を身につけることも目的としている。医療技術系学士向けのコースⅠ/理工系学士向けのコースⅡの両コースを併設している。また、学内にとどまらず、本学核物理研究センター、理学研究科との連携による物理教育を行い、医学部附属病院の放射線治療学の医師や、医学物理士による臨床教育も行っている。さらにこれらの機関のそれぞれの得意分野を活かした研究を共同で行っている。対面のみならず、遠隔講義システムを用いた、奈良県立医大診療放射線技師コースとの講義の連携や、連携大学院である兵庫県立粒子線医療センター、大阪国際がんセンター、大阪重粒子線センターの連携教員によるオンライン講義をも行っている。全国e-ラーニングを積極的に活用し、幅広い講義内容を学ぶ。月1回附属病院オンコロジーセンターが主催するキャンサーボードへ参加したり、その他、多職種連携教育の運営、参加も積極的に行い、多職種間の集学的治療や職種間連携についても学ぶ。国内にとどまらず、米国City of Hope Cancer Centerとの共同研究などの国際連携も進めている。多角的な連携により、質の高い教育をコース受講者のみんなに提供できるものである。http://sahswww.med.osaka-u.ac.jp/~osaka-ganpro/course/staff-003.html

SDGs貢献可能性

放射線治療は、外科治療、化学療法とならぶがん治療の柱の1つである。最近の高精度化により、疾患によっては外科療法と同等の治療成績が得られるようになっている。また、放射線治療は機能、形態温存ができることにより、小児から手術困難な高齢者までが適応となる。また、遠隔転移を有する症例に対しても、疼痛緩和等が期待できることから、初期ステージから進行期のがんにまで幅広く適応となる。今や2人に1人ががんになる時代であり、このような観点から、誰一人取り残さないがん治療に貢献できうるのが放射線治療である。しかし、高精度放射線治療を安全に実行するのには放射線治療医だけでは困難であり、線量計算や精度管理を行う専門家(医学物理士)が不可欠である。欧米に比べ、わが国では医学物理士が不足しており、本コースでは高度知識と問題解決能力、さらなる放射線治療の飛躍を遂げる研究能力を有した医学物理士の養成をおこなっている。これにより、全ての人に健康と福祉を提供し、安全に高精度放射線治療を提供するための装置や線量計算装置をつかう責任も有した人の輩出を目指す。

備考

放射線治療は、従来、有効ながんの局所治療であったが、最近、2018年のノーベル生理学賞受賞者である京都大学の本庶佑先生、MD Anderson Cancer CenterのDr Allisonらによって発見された免疫チェックポイントの阻害剤と併用することにより、局所のみならず遠隔転移にも作用することが明らかになりつつあり、私たちも骨肉腫や膵がんマウスモデルで同様のことを明らかにしつつある。放射線治療によりすべての人に健康と福祉を提供できる可能性があり、それを支える医学物理士が必要である。

【対象の課程(詳細)】
修士(保健学)