教育 (Education)
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講義「フューチャー・デザイン」「Frontiers of Sustainability Science」、フューチャー・デザインの社会実践
教授 原 圭史郎(工学研究科)
授業科目など要旨
「フューチャー・デザイン」「Frontiers of Sustainability Science」は、工学研究科教員が他研究科教員とも連携して実施している講義であり、SDGsにも直結したテーマを扱っている。気候変動や資源エネルギー問題、インフラの維持管理問題等、社会の持続性や人類の生存基盤を脅かす中長期的な課題が顕在化する中、これらの諸課題に対処し持続可能な社会を導くことは人類にとっての喫緊の課題である。これらの講義は、サステイナビリティや環境問題に関連する様々な学問領域の俯瞰的・構造的理解に加え、持続可能な未来社会をデザインし、社会転換を導くための社会の仕組みのデザインについて、考え方と方法論を学ぶ内容となっている。特に「フューチャー・デザイン」では、将来世代を考慮した意志決定や、そのことによって持続可能社会を導くための「社会の仕組み」のデザインについて学習する。様々な社会課題を題材に、フューチャー・デザインが必要とされる背景や、理論的観点および自治体や産業界などにおける応用実践について体系的に学ぶ内容となっている。また、英語科目である「Frontiers of Sustainability Science」は、長年にわたって阪大、東大、京大、国連大、茨城大が連携して実施してきた集中講義であり、色々な国籍や専門性の学生が参加するという多様性の確保された環境でサステイナビリティを理解、学習することができる極めてユニークな講義である。特に演習テーマでは、フューチャー・デザインの考え方が応用されていることもあり、5大学の学生が演習を通じてフューチャー・デザインを学ぶ機会にもなっている。
SDGs貢献可能性
「フューチャー・デザイン」「Frontiers of Sustainability Science」ともに、持続可能性をテーマとして扱うため、SDGsと密接に関係している。実際、講義の中では、SDGsそのものを扱うもの以外にも、水・資源・エネルギーや気候変動などの地球環境問題に関するテーマや、貧困問題や健康福祉、産業技術・イノベーション等の社会経済的課題もカバーしている。履修者は、持続可能性やSDGsの概念を包括的に学ぶとともに、これらを実現するためのアプローチや方法論、新たな社会の仕組みのデザインについて座学と演習を通じて学ぶ。修了生は、産業界や官庁など様々なフィールドにおいて、持続可能社会実現ための社会の仕組みのデザインやイノベーション創出を牽引し、SDGsに貢献することが期待される。
備考
工学研究科テクノアリーナ最先端研究拠点部門には「フューチャー・デザイン革新拠点」が2021年に設置されており、産学官とも連携したフューチャー・デザインに関する研究を進めるとともに、研究成果を教育にもフィードバックしている。これらの研究教育基盤を踏まえて、自治体や産業界とも連携しつつ、資源・エネルギー問題やインフラの維持管理、産業技術イノベーションなどの各自治体等が抱える諸課題をテーマにフューチャー・デザインを実践している。SDGsは目標(ゴール)ベースの取り組みであるが、これらのゴールをどのようなプロセスを通じていかに実現していくのか、という移行プロセスについては主体間の合意形成が必ずしもできておらず、明確な道筋が見えていない。フューチャー・デザインは、「将来世代」の利益や考え方を現代社会の意志決定にも取り込み、持続可能社会の実現を達成するための様々な社会の仕組みをデザインすることを中心テーマとしている。そのため、SDGs目標達成にむけた移行プロセスや道筋の明確化という観点から貢献しうる。
大阪大学大学院工学研究科テクノアリーナ最先端研究拠点部門「原フューチャー・デザイン革新拠点」
https://www.cfi.eng.osaka-u.ac.jp/fd-research/