
SDGsは、「誰一人取り残さない」持続可能でよりよい社会の実現を目指す世界共通の目標です。
新型コロナウイルス感染症は、誰もが「助けを必要とする存在」であることを人類全体で共有しました。しかし、このことは、新型コロナウイルス感染症だけでなく、災害、気候変動、水不足、紛争等、どの社会課題にも共通して言えることです。
他方、視点を変えるならば、様々な社会課題は、これまで常識とされてきたことを見直し、変革すべき点を明確にし、新時代を迎える機会とも捉えることができます。こうした状況の中、「誰一人取り残さない」を掲げるSDGsの重要性はますます高まっています。
本学は、「地域に生き世界に伸びる」をモットーとして、社会の安寧と福祉、世界平和、人類と自然環境の調和に貢献することを「大阪大学憲章」に掲げ、教育研究活動を一貫して進めてきました。とりわけ現在は、「『いのち』にむきあう」を教育研究の根幹に据え、「いのち」を「まもる」、「はぐくむ」、「つなぐ」の三つの視点に立ち、「生きがいを育む社会」の実現を目指す世界屈指のイノベーティブな大学として、社会との組織的な共創を具体化するOU(The University of Osaka)エコシステムを展開し、社会課題の解決に取り組んでいます。
SDGsの理念は、これら本学の営みすべてに通底するものです。このことから、本学は、SDGsを人類の未来を構想するための重要な道標と位置づけ、社会の様々なステークホルダーと協働するためのグローバルなプラットフォームと捉え、本学の活動を積極的に展開することによりSDGsの達成に貢献できるものと確信しています。そのため、全学的な組織として「大阪大学SDGs推進委員会」を立ち上げ、またそのもとに「企画部会」を設置し、全学体制でSDGsに本格的に取り組んでいます。
具体的には、本学では、SDGsの理念に則り、性的指向・性自認、さらには、障がいの有無、国籍、民族、文化的背景、年齢等の違いを超えた、真に多様性を生かせるダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を推進し、真に多様性を生かせる大学になることを目指しています。教育面では、高度な専門性の探究に加えて、OU-SDGsプログラム等、SDGsに代表される社会的課題の解決に貢献する人材の育成を推進しています。研究面でも、温室効果ガスの排出を抑えることを始めとして、新しいエネルギー等の研究や、グリーン・リカバリーを推進する研究を海外の諸機関と共同して進める等、多様な分野でSDGsの達成に貢献しています。また、キャンパス整備においては、カーボンニュートラルな環境づくり、文化、言語、ジェンダーの壁を超えた多様性を育む「OUグローバルキャンパス」(箕面市)や、国内からの学生、留学生、外国人研究者、教職員が同じ場所で生活し交流を生み出す「グローバルビレッジ津雲台」(吹田市)等、SDGsを意識した環境整備を進めています。
さらに本学は、関西の民間企業、市民社会・NPO・NGO、大学、自治体等が参加する「関西SDGsプラットフォーム」に設立時から参画するのみならず、本学が発起人の一人となり、このプラットフォーム内に「大学分科会」を立ち上げ、関西圏の大学が中心になりつつ、企業やNPO法人、自治体等とも連携してSDGsの達成を進める活動を進めています。
2025年に「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとして開催される大阪・関西万博でも、SDGsの推進が謳われています。本学は、万博を契機に、関西経済連合会、関西経済同友会、大阪商工会議所とともに「いのち会議」を立ち上げました。「いのち会議」は、2050年をターゲットに「すべてのいのちが輝く世界」の実現を目指します。そのためには、取り残された状態にある「いのち」をそのままにせず、向き合い、共感し、苦難をともに乗り越えようとしなくてはなりません。「『いのち』にむきあう」という教育研究の方針を掲げる本学は、このような精神に立ち、「大阪大学2025年日本国際博覧会推進委員会」を立ち上げ、「いのち会議」の活動を推進することを中心に、SDGsの達成に貢献しています。
大阪大学は、今後、SDGsという世界共通のプラットフォームを通して、産業界や自治体にとどまらず、経済団体や国際機関、さらには市民にいたる多様な主体との共創へとネットワークを広げていきます。そして、その共創ネットワークの中で、科学技術・学術の進展を図り、未来を担う人材を育成し、社会の安寧と福祉、世界平和、人類と自然環境の調和に努め、「生きがいを育む社会」の創造に貢献します。