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「コロナ」「いのち」「25年万博」をキーワードに、ラウンドテーブル「Dialogue for Life」を開催しました(基調講演:石黒浩教授)

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 サイエンスアゴラin/大阪 ラウンドテーブル「Dialogue for Life」(大阪大学21世紀懐徳堂主催、科学技術振興機構、アートエリアB1など共催)を2月10日(木)、大阪市中央公会堂(中之島)で開催しました。会場には約70人の参加者があり、WEBでも約360人が聴講してくださいました。


 大阪大学の三成賢次理事・副学長などが開会あいさつをした後、アバター・ロボットの研究者として著名な石黒浩・大阪大学栄誉教授が「人間とは何か? 命の可能性を拡げる試み」と題して基調講演。「アバター共生社会の実現を、ムーンショット・プロジェクトで進めています。25年大阪・関西万博では、人間性を失わないようにしながら、技術が支えるいのちを描きたい」と話し、自身がプロデュースするパビリオンでは「1万年後、10万年後の人間を想起させる『いのちの未来』を表現していきます」と展望しました。


 このあと、ディスカッション「Dialogue for Life~コロナ禍を生きる私たちの未来に向けて~」を行い、ファシリテーターの堂目卓生・大阪大学SSI長が「コロナの2年間で、私たちは何を学び、どんな未来を描いていくのか」と問題提起。パネリストして、自身が脳性マヒを抱える熊谷晋一郎・東京大学先端科学技術研究センター准教授が「狭義の『障害者』にとどまらず、障害というものがコロナ禍で普遍化してしまい、差別が広がっている」と分析しました。玉川弘子・大阪商工会議所地域振興部長は「コロナのもと、地元企業などへの支援を続けている。万博に向けては、人とロボットが共に暮らせる『コモングラウンド』実現を目指したい」と述べました。


 自身がトランスジェンダーである建築デザイナー、サリー楓さんは、現代社会のさまざまな困難を例示しながら「新しい共助の感覚を、広げていきたい」と呼びかけました。万博に向けて活動する大阪大学の学生サークル「a-tune」の永井佑依副代表は「『ユニティ』を目指して、楽器を使いながら国内外の学生と交流している。選択肢を増やすことで、多様性を広げたい」と語りました。


 大阪大学の河原源太理事・副学長などが閉会あいさつをした後、参加者たちは普段入ることのできない部屋で近代建築のモダンな造りを見学しました。

アゴラ写真1=モダンな建物のなか、ラウンドテーブル方式で行われた。
アゴラ写真2=基調講演する石黒浩栄誉教授