研究

最終更新日:

バイオ由来メタンガスから液体燃料製造技術

大久保 敬(高等共創研究院・先導的学際研究機構)

  • 全学・学際など
  • 高等共創研究院
  • 先導的学際研究機構

研究の概要

メタンを酸素でメタノールへ変換する反応は有機化学の中でも最も難しい反応の一つである。除菌消臭剤の有効成分として知られている二酸化塩素を反応剤として用いることによって、光照射下、メタンガスと酸素からメタノールとギ酸へ変換することが可能になった。メタンからメタノールの空気酸化は世界で初めての例で、メタン酸化の収率はこれまで知られている別の酸化剤を使用した場合と比べても世界最高値を示している。
この研究成果により、貴重な天然炭素資源を扱いやすい液体燃料に容易に変えることができるようになった。北海道興部町と連携協定を締結し、共同研究室と共同研究実験等を設置した。ここで酪農由来のバイオガスに含まれているメタンから液体燃料を製造する研究進め、カーボンニュートラル循環型酪農の社会実装を目指している。

大阪大学Youtubeチャネルの研究紹介動画
https://www.youtube.com/watch?v=uwg79anQSSg

社会実装に向けた将来展望

メタンガスの排出については近年国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP)によって、2020年に対し10年間でメタン排出量を30%削減することが提案されている。酪農は主要なメタン排出源の1つであることから国際的な取り組みによって至急対策を取らなくてはならない。
このメタンの排出削減するのでは無く、我々の技術で生物が生産した貴重な炭素源を化学技術で有効利用できるようになることを目指している。日本にはメタンハイドレート、および温泉ガス、火山ガスなどメタン源が豊富にあることから、このメタンを輸送容易な液体燃料に変えることによって、資源に乏しい日本からエネルギーが輸出できるような将来が来ることを期待している。

興部北興バイオガスプラント
バイオガス中のメタンを光反応処理でメタノール・ギ酸製造
カーボンニュートラル循環型酪農システム

担当研究者

高等共創研究院・先導的学際研究機構
大久保 敬 教授

※本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2019/v4xvi8/

Researchmap https://researchmap.jp/Kei_Ohkubo

キーワード

酪農/バイオガス / メタノール / ギ酸 / カーボンニュートラル / 光反応

応用分野

燃料電池, 化成品製造, バイオ由来材料製造, バイオエネルギー製造