研究

最終更新日:

複合化をカギとする免疫制御分子の開発

教授 深瀬 浩一(理学研究科 化学専攻)

  • 理工情報系
  • 理学研究科・理学部

特徴・独自性

分子を複合化した多機能性の生物機能制御分子は、新たな医薬品候補化合物として注目を集めている。我々は糖鎖の生物活性、特に免疫制御にかかわる活性に着目、“複合化”をキーワードとして、新たな生物機能制御分子を創製した。例えば、超急性拒絶反応を引き起こす糖鎖であるα-galをがん抗体と複合化することで、がん細胞に対して激しい免疫反応を誘導することができる。また、“がんの顔”として知られるriSTnという糖鎖に免疫制御分子を複合化することで、がん細胞に対する抗体産生を効果的に誘導できる革新的なワクチンを報告した。

研究の先に見据えるビジョン

α-galとがん抗の複合化は、抗体の薬効を劇的に高めることから、抗体投与量の削減や、十分な活性を示さない抗体の再開発につながり得る。また、複合化ワクチンは抗原特異的な免疫反応を誘起し、副作用なく、高い効果を示す理想的なワクチンの設計法を提唱できた。糖鎖は核酸やタンパク質に続く第三の生命鎖として注目されているが、その機能解明は十分には進んでおらず、未開拓の創薬シーズ化合物である。本研究において、我々は、糖鎖を利用した有効な生体機能制御の手法を提案し、糖鎖医薬実現の可能性を示すことができた。

担当研究者

教授 深瀬 浩一(理学研究科 化学専攻)

※本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2017/g004362/
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2017/g004361/

キーワード

ワクチン/抗体医薬/糖鎖/アジュバント/複合化

応用分野

医療・ヘルスケア/創薬

参考URL

http://www.chem.sci.osaka-u.ac.jp/lab/fukase/

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。