研究 (Research)
最終更新日:
カゴ型アルミニウム錯体の合成とそのルイス酸触媒能:高立体選択的グリコシル化反応の開発 (Synthesis of cage-shaped aluminium complexes and their Lewis acid catalytic ability: application to highly stereoselective glycosylation reactions)
教授 深瀬 浩一(理学研究科 化学専攻)、教授 安田 誠、助教 小西 彬仁 (工学研究科 応用化学専攻) FUKASE Koichi , YASUDA Makoto, KONISHI Akihito(Graduate School of Science)
特徴・独自性
豊富な元素を利用した高度な物質変換は、持続可能な社会の実現に大きく寄与する。本研究では地殻中に豊富に存在するアルミニウムに着目し高機能ルイス酸触媒の開発を行った。剛直なトリフェノキシ配位子とアルミニウムイオンを1:1で錯形成し、カゴ型アルミニウム錯体を合成した。トリフェノキシ配位子は複数のアルミニウムイオンと錯形成した複核錯体を与えやすいことが知られているが、本研究では単核のアルミニウム錯体を選択的に得ることに成功した。この錯体は、中程度のルイス酸性を示し、高い触媒活性を示すことが明らかとなった。特に二糖類の合成において、高い触媒活性と高い立体選択性で反応が進行した。中程度のルイス酸性が触媒反応の促進を、嵩高い錯体の構造が立体選択性に効果的であったと考えられた。実験的にも特異な活性化機構で反応が進行することを見出し、アルミニウムを触媒点に用いた効果を明らかにできた。
研究の先に見据えるビジョン
多糖は有用な医薬品や生理活性物質に含まれる構造であり、その高効率・高選択的な合成法の構築は強く望まれる課題である。しかし、糖は多数の反応活性点を有することが一般的であり、望む部位かつタイミングでの反応が必要不可欠である。本研究成果は、これらの課題に直接応えるもので、高選択的多糖類の合成への展開が期待される。さらに、本研究の知見は、糖同様複数の反応活性点を有するアミノ酸や脂質に対しても適用できると考えられる。より複雑な生体分子合成への展開が強く期待される。
担当研究者
教授 深瀬 浩一(理学研究科 化学専攻)、教授 安田 誠、助教 小西 彬仁 (工学研究科 応用化学専攻)
※本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
※本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
深瀬 浩一
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2017/g004362/
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2017/g004361/
キーワード
ルイス酸触媒/アルミニウム/グリコシル化/立体選択的
応用分野
創薬/ヘルスケア/高度物質変換
備考
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/jacs.9b08875
https://pubs.acs.org/toc/jacsat/141/44