研究

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失明を防ぐ新たな網膜保護法の開発

教授 古川 貴久(蛋白質研究所 蛋白質高次機能学研究部門)

  • 理工情報系
  • 蛋白質研究所

特徴・独自性

加齢黄斑変性や網膜色素変性症などの網膜変性は、光の長期暴露による光障害が悪化要因の一つとして知られており、光による網膜のダメージを減弱することは網膜保護や変性予防に有効と考えられる。また遺伝性網膜変性マウスにおいても、光受容感度を低下させることによって、網膜変性の進行を抑制できることが知られている。光受容感度を調節する機能は、明暗順応と呼ばれ、我々の視覚に重要な役割を果たしている。しかしながら、網膜の桿体視細胞が外界の光の強度に応じて光受容感度を制御する分子メカニズムはよく分かっていなかった。我々は、網膜視細胞に特異的に発現するユビキチン化酵素を発見し、ノックアウトマウスを用いた実験などから、明暗順応の一連の機能メカニズムを解明した。

研究の先に見据えるビジョン

我が国を含む世界各国において、失明や重篤な視覚障害をきたす大きな原因として網膜変性が知られており、その克服は極めて重要な課題となっている。我々が発見した明暗順応の仕組みを利用することによって、網膜視細胞の光受容感度を下げることで視細胞を光による長期的なダメージや老化から守り、網膜以外の組織に影響を与えることなく、明所視力は維持したまま、加齢黄斑変性や網膜色素変性症をはじめとする失明に至る網膜変性疾患の進行抑制薬や予防薬の開発につながることが期待される。

担当研究者

教授 古川 貴久(蛋白質研究所 蛋白質高次機能学研究部門)

※本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2012/121201_2/

キーワード

失明/視覚/網膜/網膜色素変性症/加齢黄斑変性/ユビキチン化

応用分野

医療(特に眼科分野)/創薬

参考URL

https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2019/20191101_1

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。