研究

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口腔顔面領域における触覚と運動の統合

教授 古田 貴寛(歯学研究科 口腔解剖学第二教室)

  • 医歯薬生命系
  • 歯学研究科・歯学部

特徴・独自性

我々は食べ物を咀嚼するとき、なぜ舌を噛まずにいられるのだろうか。一見、当たり前に感じられるこの能力も、我々の神経システムが精緻な触覚情報処理と運動制御を持ち、さらにそれらが密接に統合されているから実現するのである。こうした高度な統合機能はは口腔顔面の領域に限らず、全身を支配する神経系に広く存在するもので、神経システムの最も重要な機能の1つである。我々はげっ歯類のヒゲシステムを題材として、感覚と運動の神経メカニズムを研究している。げっ歯類は探索行動の際、ヒゲ大きく前後に動かしながら周囲の物体にタッチし、環境の空間的な情報を得る。真っ暗闇の中を行動するげっ歯類にとって、このヒゲシステムは最も発達した情報システムであると言える。我々の最近の成果では、ラットのヒゲ触覚受容器が触覚情報を神経活動に変換する際に、受容器の形態的タイプごとに役割分担をしていることを明らかにした。我々はヒゲ運動の制御システムの研究も行っており、上述の感覚情報処理メカニズムと合わせて、包括的な研究プロジェクトを進めることにより、感覚と運動を統合するメカニズムに迫ろうとしている。

研究の先に見据えるビジョン

老化とともに低下する神経機能、特に感覚と運動の統合について、その機能低下を軽減する方法を開発したり、傷病によって損なわれた感覚運動機能の回復を促進する治療法を考案することに貢献する。また、アクティブセンシング技術の発展にも寄与すると期待される。

担当研究者

教授 古田 貴寛(歯学研究科 口腔解剖学第二教室)

キーワード

ヒゲ/三叉神経/アクティブタッチ

応用分野

医療・ヘルスケア/センシングデバイス

備考

http://www.scholarpedia.org/article/Vibrissal_mechanoreceptors

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。