研究 (Research)

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相対論効果による超高強度レーザーの異常侵入によるレーザー核融合の実現 (Realisation of laser fusion by anomalous penetration of ultra-intense lasers due to relativistic effects)

准教授 羽原 英明(工学研究科 電気電子情報通信工学専攻) HABARA Hideaki(Graduate School of Engineering)

  • 理工情報系 (Science, Engineering and Information Sciences)
  • 工学研究科・工学部 (Graduate School of Engineering, School of Engineering)

特徴・独自性

レーザー核融合は重水素・三重水素の混合燃料を、固体密度の1000倍まで圧縮し、燃料温度を1億度以上にして燃焼し、エネルギーを取り出す。燃料を加熱するには幾つかの方法があるが、超高強度レーザーを照射し、燃料プラズマとの相互作用によって生成する高エネルギー電子を用いて瞬間的に燃料を加熱する高速点火という方式では、高密度圧縮に必要なエネルギーが他方式よりも少なくて済むために有望な手法である。我々のグループでは超高強度であることに由来するレーザー光の相対論的な振る舞いを利用することで、高強度レーザーを燃料近傍まで輸送し、実際にプラズマを加熱することができることを予備的な実験で示した。本手法は燃料構成やレーザー配置が単純であるため、100Hz以上の高繰り返しレーザー照射にも簡単に適応でき、核融合発電の実用化に貢献することが可能である。


図1 スーパーペネトレーション高速点火レーザー核融合の概要:超高強度レーザーの相対論的な振る舞いにより高密度プラズマを切り裂き、燃料近傍までエネルギーを輸送し、効率的に加熱する。

研究の先に見据えるビジョン

高強度レーザーは物質に照射することで、そのエネルギーをほとんど高エネルギー粒子に変換することが可能となる。この性質はレーザー核融合だけでなく、高エネルギーイオンによるがん治療などの医療応用、高輝度X線による加工・ものづくりなどの産業応用など、様々な応用が期待されている。我々のグループは特に、生成されるX線のパルス幅がフェムト秒10-15秒)からピコ秒(10-12秒)程度であることを利用し、高輝度軟X線による生体の超高時間・高空間分解計測を推し進めている。


図2:高エネルギー電子によるプラズマからの発光の2次元イメージ(実験データ(上)及び再現シミュレーション(下))。

担当研究者

准教授 羽原 英明(工学研究科 電気電子情報通信工学専攻)

キーワード

レーザー核融合/高強度レーザー/高エネルギー電子ビーム/高輝度X線

応用分野

エネルギー/医療/ものづくり

参考URL

http://www.eie.eng.osaka-u.ac.jp/le/habara/habara.htm

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。