研究

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細胞老化の制御による健康寿命の延伸

教授 原 英二(微生物病研究所 遺伝子生物学分野)

  • 医歯薬生命系
  • 微生物病研究所

取特徴・独自性

私たちの身体を構成する細胞は、異常が起こると細胞分裂を停止する安全装置を備えている。細胞老化はこの安全装置の一つであり、細胞の異常増殖を防ぐ癌抑制機構として働いている。しかしその一方で、細胞老化には炎症性サイトカインなどの炎症性物質を分泌するSASPと呼ばれる現象を起こすことで炎症を惹起し、生体機能の低下や、癌を含めた様々な炎症性疾患の発症を促進する副作用があることも明らかになりつつある。このため、加齢や肥満など様々な原因で体内に蓄積した細胞老化を起こした細胞(老化細胞)を除去することで癌を含めた炎症性疾患の発症を抑えられる可能性が高い。本研究ではハイスループットスクリーニングにより47000個の低分子化合物の中から老化細胞を特異的に死滅させる化合物を同定し、更にその作用機序としてオートファジー制御が関与していることを明らかにした点に特徴がある。

研究の先に見据えるビジョン

現在使われている抗癌剤の多くや放射線治療によっても老化細胞が出現し、治療効果を阻害していることが明らかになりつつある。このため、抗癌剤治療の支持療法としての老化細胞除去薬の可能性が期待される。更に老化細胞除去薬には疾患のみならず、SASPが関与する加齢に伴う機能低下の抑制(予防)効果も期待され、健康寿命の延伸につながることが期待される。

担当研究者

教授 原 英二(微生物病研究所 遺伝子生物学分野)

※本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2019/ar12wi/

キーワード

細胞老化/老化/健康寿命/がん

応用分野

医療・ヘルスケア/創薬

参考URL

http://www.biken.osaka-u.ac.jp/lab/molmicro/

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。