研究 (Research)
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脂肪性肝疾患における病態形成機構の解明 (Pathogenic mechanisms in fatty liver disease)
講師 疋田 隼人、教授 竹原 徹郎(医学系研究科 消化器内科学) HIKITA Hayato, TAKEHARA Tetsuo(Graduate School of Medicine)
特徴・独自性
本邦では過栄養を背景とする非アルコール性脂肪性肝疾患(Non-alcoholic fatty liver disease: NAFLD)が増加している。NAFLD患者の約10%は肝硬変、肝癌へと進展する非アルコール性脂肪肝炎(Non alcoholic steatohepatitis: NASH)であるが、有効な治療法は確立していない。NAFLD/NASHの肝臓では肝細胞死を散見する。我々の研究室は、肝細胞死が持続するだけで肝線維化進展や肝発癌が誘導されることを明らかにしており、肝細胞死を起点としたNAFLD/NASH病態形成機構の解明に取り組んでいる。これまでに、脂肪性肝疾患の肝細胞ではRubiconタンパクの発現が増強することにより、細胞内分解機構の1つであるオートファジーが抑制され、肝細胞の脂肪滴蓄積を増加させるとともに、アポトーシス刺激を増強させて肝細胞アポトーシスを惹起することを明らかにした。一方、アポトーシス刺激はミトコンドリアからミトコンドリアDNA(mtDNA)を放出させるが、アポトーシスに陥らなかった肝細胞では、放出されたmtDNAはDNA分解酵素であるDNase IIによって分解される。このDNase IIの活性は脂肪性肝疾患の肝細胞で低下しており、このためmtDNAが蓄積してTLR9を介した非アポトーシス型の細胞死を惹起することも明らかにした。
研究研究の先に見据えるビジョン
NAFLD/NASH病態形成機構を分子レベルで詳細に解明することで、NAFLD/NASH進展を予防・改善する新規治療法の開発につながることが期待される。
担当研究者
講師 疋田 隼人、教授 竹原 徹郎(医学系研究科 消化器内科学)
※本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
竹原 徹郎
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2022/nl87_mimiyori_vol10/
キーワード
細胞死/アポトーシス/オートファジー/肝線維化/肝発癌
応用分野
創薬 / 農薬 / 機医療・ヘルスケア/創薬