研究

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光を用いてすぐにがんの診断ができる「光診断技術」

教授 石井 優(医学系研究科 免疫細胞生物学)、准教授 松井 崇浩(医学系研究科 病態病理学)

  • 医歯薬生命系
  • 医学系研究科・医学部(医学専攻)

特徴・独自性

現在の医療体系では、がんの最終診断には、病気が疑われる部位から組織を切り取って、ガラス標本を作製し、病理医が顕微鏡で観察・診断する“病理診断”が必須です。しかしこの方法は、①体を傷つける(=侵襲的な)処置が避けられない、②診断が確定するまでに時間がかかる、③専門的な人的資源の影響が大きい、などいくつかの問題があります。そこで我々は、これまで生命科学の実験分野で用いられてきた、近赤外線による最新の生体イメージング技術を改良し、組織を切り取らずにヒトの生きた組織の深部まで立体的に観察できる方法を開発しました。光を当てるだけですぐに病気を診断できるこの「光診断技術」は、これまでに子宮頸がん(関連論文1)や大腸がん(関連論文2)で、その科学的な有用性が示されています。


切らない「光診断技術」によるヒト生体組織画像。大腸粘膜(上)や子宮頸部がん組織(下)を、切り出さないで未固定・未染色で観察できる。

研究の先に見据えるビジョン

この技術を応用した医療機器を開発することで、従来の方法よりも低侵襲・迅速・定量的ながん組織診断の実現が期待されます。また、この方法はデジタル画像データが迅速に入手できるため、AIを介した診断にも適しています。さらには、海外でも発展途上国など病理医を含む医療専門職が少ない地域にもIoTを介したがん組織診断が提供でき、全世界の人々を対象に、がん診断を展開できると考えられます。

担当研究者

教授 石井 優(医学系研究科 免疫細胞生物学)、准教授 松井 崇浩(医学系研究科 病態病理学)

※本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
石井 優
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2018/jwhvw/

キーワード

光診断/生体イメージング/がん

応用分野

医療・ヘルスケア/スマートデバイス

参考URL

http://www.icb.med.osaka-u.ac.jp/

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。