研究

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遺伝情報の継承、維持、発現の仕組みを分子レベルで解き明かす-DNA損傷の修復メカニズム解明-

特任助教 磯部 真也 教授 小布施 力史 (理学研究科 生物科学専攻)

  • 理工情報系
  • 理学研究科・理学部

特徴・独自性

生物の設計図であるDNAは、紫外線や放射線、化学物質、ウィルスなどにより絶えず傷や切断といった損傷を受けている。損傷したDNAが適切に修復されずに変異として蓄積すると、がんや老化を引き起こす。家族性乳がんの原因遺伝子として有名なBRCA1が適切に働かないと、乳がん・卵巣がんを発症する生涯リスクが80%以上になることが報告されている。BRCA1はDNA修復に関わることが知られているが、その制御メカニズムは未解明であった。
我々は、DNA修復を担う新規タンパク質SCAIをプロテオミクスにより発見した。SCAIは、BRCA1の働きを阻害するRIF1の働きを抑制することで、BRCA1の働きを助けていることを明らかにした。
このように、我々は、遺伝情報の継承、維持、発現に関与するタンパク質を発見し、その仕組みを分子レベルで解き明かすことを目的としている。

研究の先に見据えるビジョン

BRCA1の働きに関する知見は、乳がん・卵巣がんの発症前診断や抗がん剤の開発に利用されている。
一方で、BRCA1 変異と同様の症状や性質を示すがんでも変異遺伝子がわからない例が報告されており、SCAI変異がその原因になっていることも想定される。我々が発見したSCAIの知見が、がんの診断や治療法の開発につながることが期待される。

担当研究者

特任助教 磯部 真也 教授 小布施 力史
(理学研究科 生物科学専攻)

キーワード

がん/DNA損傷修復/分子生物学/BRCA1/抗がん剤

応用分野

医療・ヘルスケア/創薬

参考URL

https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2017/20170712_1

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。