研究

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糖タンパク質の精密合成と創薬への応用

教授 梶原 康宏(理学研究科 化学専攻)

  • 理工情報系
  • 理学研究科・理学部

取組特徴・独自性

ヒトの体内のタンパク質の多くは右のような糖鎖が結合した糖タンパク質である。糖鎖は、タンパク質の3次元構造、細胞内輸送、抗原性、血中安定性を制御している。そこで、この糖タンパク質を有機化学の手法を用いて合成し、その糖鎖機能を詳細に調べる研究を行っている。この方法では、糖鎖とペプチドがつながった糖ペプチドを合成し、それらを連結していくことで目的とする糖タンパク質のポリペプチド鎖を合成する。そして、タンパク質に特異的な3次元構造を形成させることで合成が完了する。我々は2008年に世界で初めてこのような分子が化学的に精密に作れることを示した。そして、それ以降、糖タンパク質の生理活性を評価し、糖鎖構造とタンパク質の機能発現の関係を調べている。この手法を使うことで動物細胞で作る糖タンパク質よりもはるかに高純度な糖タンパク質製剤の開発が可能となる。

研究の先に見据えるビジョン

我々の技術、知見は、既に世界的にもユニークな糖鎖を基盤とする化学系会社(株 糖鎖工学研究所 京都)で活用されている。現在ヒト型糖鎖が数キログラムスケールで調製できるため、多くの製薬会社でも利用され始めている。

担当研究者

教授 梶原 康宏(理学研究科 化学専攻)

キーワード

糖鎖/糖タンパク質

応用分野

医療・ヘルスケア/創薬

参考URL

http://www.chem.sci.osaka-u.ac.jp/lab/kajihara/index.html

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。