研究

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Wntシグナルネットワークの異常にもとづく発がん機構の解明と抗がん剤開発

特任教授 菊池 章(感染症総合教育研究拠点)、准教授 松本 真司(医学系研究科 分子病態生化学)

  • 医歯薬生命系
  • 医学系研究科・医学部(医学専攻)

特徴・独自性

Wntシグナルは動物の発生に必須なシステムであり、出生後に異常があるとヒトではがんや骨疾患が生じる。2000年以降、Wntシグナル経路を構成する分子であるDvl, β-カテニン, Axin、TCF4等を標的として抗がん剤開発が行われてきたが、未だに成功例はない。そこで、私共は視点を変え、Wntシグナルが活性化する新規がんシグナル経路を同定し、その構成分子であるCKAP4とGREB1に着目して、抗がん剤開発を行っている。CKAP4はWntシグナルが発現誘導する分泌タンパク質Dickkopf1(DKK1)(発がん因子として働く)の新規細胞膜受容体であり、ヒト化抗CKAP4抗体の開発を行っている。GREB1はWntシグナルが直接発現誘導するタンパク質である。GREB1はTGFβシグナルを阻害することによりがん化を促進するので、GREB1の機能を阻害する人工核酸医薬品の開発を行っている。このように、CKAP4とGREB1は、私共が新規のWntシグナル関連分子として見出したものであり、本課題はそれらを創薬標的とすることが特徴であり、独自性が高い。

研究の先に見据えるビジョン

がんが死因の第一位であることから、がん研究の推進が社会的に求められるが、がん研究の進展は、生命科学や生物学の発展にも大きく貢献する。CKAP4とGREB1を介するがんシグナルを研究することにより、新たな細胞分化や上皮形態形成機構等の理解に貢献することを目指している。

担当研究者

特任教授 菊池 章(感染症総合教育研究拠点)、准教授 松本 真司(医学系研究科 分子病態生化学)

キーワード

がん/抗がん剤/分子標的/Wntシグナル

応用分野

医療・ヘルスケア/創薬

参考URL

http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/molbiobc/index.html

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。