研究

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GPIアンカー型タンパク質の生物学と医学

特任教授(常勤)木下 タロウ、特任教授 村上 良子 (微生物病研究所 糖鎖免疫学グループ)

  • 医歯薬生命系
  • 微生物病研究所

特徴・独自性

すべての真核生物の細胞表面にGPIアンカー型タンパク質という一群の膜タンパク質があり、ヒトでは様々な機能を持つ150種以上のタンパク質が含まれる。GPIアンカー型タンパク質の構造の特徴は、タンパク質本体が膜に挿入しているのではなく、C末端に結合したGPI(グリコシルホスファチジルイノシトールの英名を略してGPIと記す)と呼ばれる糖脂質の脂質部分で細胞膜に係留されていることである。この構造により、GPIアンカー型タンパク質は脂質マイクロドメインに局在しており、また糖脂質部分を切断する酵素の働きによって細胞表面から遊離するといった特有の性質がある。私たちは、GPIアンカー型タンパク質が細胞内で生合成され、細胞表面に輸送され、そして膜から遊離する過程に働く遺伝子群の多くを世界に先駆けて発見し、各遺伝子の働きを明らかにして過程全体を詳細に議論できるレベルまで解明しつつある。また、それら遺伝子の変異によって引き起こされる疾患群の分子病態を明らかにしてきた。

研究の先に見据えるビジョン

ヒトだけでなく、広く脊椎動物、無脊椎動物、高等植物、真菌、原生動物においてGPIアンカー型タンパク質が関与する様々な生命現象のより深い理解とGPIアンカー型タンパク質に関連する様々な疾患のより良い制御法開発への展望が開ける。

担当研究者

特任教授(常勤)木下 タロウ、特任教授 村上 良子(微生物病研究所 糖鎖免疫学グループ)

キーワード

膜タンパク質/糖脂質/翻訳後修飾/遺伝子疾患/指定難病

応用分野

医療・ヘルスケア/創薬

参考URL

https://gpi.biken.osaka-u.ac.jp

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。