研究 (Research)

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MRI画像から、悪性脳腫瘍の遺伝子プロファイルを予測する (Predicting the genetic profile of malignant brain tumours from MRI images)

教授 貴島 晴彦(医学系研究科 脳神経外科) KISHIMA Haruhiko(Graduate School of Medicine)

  • 医歯薬生命系 (Medical, Dental, Pharmaceutical and Life Sciences)
  • 医学系研究科・医学部(医学専攻) (Graduate School of Medicine, Faculty of Medicine (Division of Medicine))

特徴・独自性

経膠腫(グリオーマ)は脳に原発する腫瘍で、希少な腫瘍です。大部分が低悪性度のグレードIIから最悪性のグレードIVに分類されます。グレードIVでは発症からの平均余命は集学的治療を行なっても1年半程度と未だ極めて不良です。しかし最近は腫瘍切片を解析することではじめてわかる腫瘍の遺伝子プロファイルを基にした病型分類が確立されつつあります。この新しい分類によって、腫瘍の化学療法への感受性や、予後予測ができるようになってきました。我々は本邦でのグリオーマの遺伝子プロファイルを解析し、その特徴が欧米のものとは異なることを報告しました。現状では、遺伝子プロファイルを知るためには、外科手術による腫瘍切片を解析する必要があります。人工知能を用いて術前のMRIを読み取り、グリオーマの遺伝子プロファイルを高い精度で予測する技術の開発に成功しました(図1)。

図1

研究の先に見据えるビジョン

神経膠腫の診断には外科手術による腫瘍の切除切片が必須でしたが、高齢者の腫瘍も増加しており、手術は必ずしも安全であるとは限りません。今回報告したように画像診断から様々な脳腫瘍の遺伝子診断が正確にできるようになれば、外科治療を含めた早期の集学的治療に大きく貢献するものであると考えています(図2)。

図2 将来は人工知能がMRIから脳腫瘍の遺伝子プロファイルを予測し、適切な治傷が選択できる。

担当研究者

教授 貴島 晴彦(医学系研究科 脳神経外科)

キーワード

脳腫瘍/人工知能/遺伝子診断

応用分野

医療・ヘルスケア/人工知能/脳腫瘍

参考URL

https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2019/20190723_2 https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2020/20200106_1

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。