研究

最終更新日:

アディポネクチンを医療に役立てる

寄附講座講師 喜多 俊文(医学系研究科 肥満脂肪病態学寄附講座) 教授 下村 伊一郎(医学系研究科 内分泌・代謝内科学)

  • 医歯薬生命系
  • 医学系研究科・医学部(医学専攻)

特徴・独自性

アディポネクチンは脂肪細胞が産生する血中に豊富に含まれる善玉タンパクで、約25年前、ヒトの脂肪組織から発見しました。以来、世界中で2万報を超える研究報告がなされています。私たちは最近、アディポネクチンが、細胞が出すエクソソームという小胞を増やすことを見いだしました。エクソソームは近年、“生命を守る伝達物質”として注目されています。エクソソームは中に細胞の老廃物を取り込んで細胞外へ排出したり、細胞・組織保護に関わる情報因子を他の細胞に伝達する働きを持っています。
アディポネクチンはそのような“生命を守る伝達物質” エクソソームの産生を増やすことで、私たちの体を保護・丈夫にしていることがわかってきました。
このような作用は他の分泌タンパクにはなく、とてもユニークなものです。幹細胞医療にも応用でき、これまでの幹細胞医療の治療効果を飛躍的に高める(図)こともわかってきました。

研究の先に見据えるビジョン

私たちが目指すところは、このアディポネクチンというタンパクが働くメカニズムの向こう側です。一粒飲む(あるいは塗る)ことで、このメカニズムをもっと強く、また普段は働いていない組織や臓器でも機能させることが出来たら、健康を維持することや、病気を治すことに利用できると考えています。

担当研究者

寄附講座講師 喜多 俊文(医学系研究科 肥満脂肪病態学寄附講座)
教授 下村 伊一郎(医学系研究科 内分泌・代謝内科学)

※本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
下村 伊一郎
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2019/yynu6v/

キーワード

アディポネクチン、エクソソーム、幹細胞医療

応用分野

医療・ヘルスケア/創薬

参考URL

https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2018/20180419_1
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2019/20191004_1
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2020/20200711_1
https://www.amed.go.jp/news/seika/kenkyu/20180604.html

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。