研究

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平面ヘプタレン骨格を含む新奇π共役系化合物の合成と性質

助教 小西 彬仁、教授 安田 誠(工学研究科 応用化学専攻)

  • 理工情報系
  • 工学研究科・工学部

特徴・独自性

π共役系化合物は剛直な骨格に宿る電子物性に興味が持たれ、機能性材料の構成単位として注目を集めている。7員環を2つ縮環させたヘプタレンは、ねじれ構造を持つ12π電子系化合物である。本研究では、ヘプタレン周囲を6員環で取り囲み、剛直に平面化することで出現する性状評価を実施した。本来ねじれたヘプタレン骨格が平面に固定されることで、開殻性と反芳香族性が共存してあらわれることを見出した。開殻性と反芳香族性はπ共役系が示す特異な性質であるが、その相関関係の解明は大きな課題である。本研究を通して、ヘプタレン骨格の存在と高い対称構造の存在が両性質の発現に重要であることを明らかにできた。

研究の先に見据えるビジョン

π共役系分子を用いた電子素材の開発は、素子の軽量化や柔軟化にとって重要であり、機能化に資する性質を示す分子の設計と合成は欠かすことが出来ない。従来、ベンゼン環に代表される6員環構造が構成単位として用いられてきたが、その性状解明はほぼ完成し、新たな材料提案が求められてきた。本研究では、奇数員環を構成単位とした新奇なπ共役系分子を設計・合成することで、6員環で構成される異性体分子系よりもはるかに特異な性質を示すことを見出した。安定性の向上など解決すべき課題はあるものの、本研究で得られた知見は、新しい骨格を基盤とした高性能有機電子材料の開発へ強く貢献できると期待される。

担当研究者

助教 小西 彬仁、教授 安田 誠(工学研究科 応用化学専攻)

キーワード

非交互炭化水素/ヘプタレン/反芳香族性/開殻性

応用分野

有機デバイス/有機磁性体/有機伝導体

参考URL

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/jacs.9b04080
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/jacs.9b06488
https://pubs.acs.org/pb-assets/images/_journalCovers/jacsat/jacsat_v141i026-4.jpg?0.945948917382827
https://www.thieme-connect.de/products/ejournals/html/10.1055/s-0039-1689812?update=true&update=true

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。