研究 (Research)

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ツイスト2次元物質の物理 (Physics of twisted two-dimensional materials)

教授 越野 幹人(理学研究科 物理学専攻) KOSHINO Mikito(Graduate School of Science)

  • 理工情報系 (Science, Engineering and Information Sciences)
  • 理学研究科・理学部 (Graduate School of Science, School of Science)

特徴・独自性

グラフェンを始めとする2次元物質の大きな特徴の一つは、本体が外界に露出しているために、他の物質と接することでその物理的性質が大きく変化することである。我々は、2次元物質同士を互いに重ねた複合物質を理論的に研究することで、単体の物質にはなかった新しい現象を探究している。顕著な性質を示す例の一つがツイスト2層グラフェンである(図)。ツイスト2層グラフェンとは、グラフェン2枚を重ねて角度をずらすことによってできる2層系であり、格子構造のずれによって生じるモアレ模様が原因となって、特異な電子状態が現れる。特に魔法角と呼ばれる特別な積層角における超伝導の発見は、物質科学における一つのブレイクスルーとなった。また30度で重ねたねじれ2層グラフェンはこれとは全く異なる様相を示し、決まった空間周期を持たない準結晶としての性質を持つことが示されている。

研究の先に見据えるビジョン

2次元物質は半導体、強磁性体、超伝導体などあらゆる種類が存在し、その組み合わせの可能性は無限大である。グラフェンと遷移金属カルコゲナイド2次元膜を重ねて、グラフェンのスピンを自在に制御する研究や、またグラフェンと窒化ホウ素の2次元膜を重ね、ホフスタッタの蝶と言われるフラクタル電子スペクトルを実現する研究も行っている。2次元物質の組み合わせと、その積層角度の自由度により、地の物質にはない全く新しい性質を生み出す、一種の「錬金術」のような楽しさがあり、未来の革新的な材料の実現へつながる可能性を秘めている。

担当研究者

教授 越野 幹人(理学研究科 物理学専攻)

キーワード

グラフェン/2次元物質/超伝導/ナノサイエンス

応用分野

エレクトロニクス/エネルギー/材料工学

参考URL

https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2018/20180709_1

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。