研究

最終更新日:

高出力レーザーを用いた電子が駆動する磁気リコネクションの実験的研究

教授 蔵満 康浩(工学研究科 電気電子情報工学専攻)

  • 理工情報系
  • 工学研究科・工学部

特徴・独自性

磁気リコネクションは、太陽フレアなど様々な宇宙現象で磁場からプラズマへのエネルギーの変換器として働きます。そこでは、電子の運動が本質的だと考えられてきましたが、電子スケールのミクロな情報を、広大な宇宙空間の観測で明らかにすることは困難でした。大阪大学では、大型レーザーを用いた核融合の研究を行っています。それを宇宙の研究に生かす実験室宇宙物理は、大阪大学で生まれ、大阪大学主導で世界的な広がりを見せる様になってきました。本研究では、高出力レーザーを用い、弱い外部磁場中でプラズマを生成し、プラズマ中の電子のみが磁場と結合する状態を作り出し、電子運動が駆動する磁気リコネクションを世界で初めて実現しました。

研究の先に見据えるビジョン

本研究成果により、これまで検証が難しかった実験室プラズマ中の電子の役割の解明が期待されます。電子はイオンに比べ非常に軽く、その時間的空間的な挙動はイオンのそれに比べ圧倒的に小さく、プラズマの全体像を見ようとすると、電子スケールの現象を分解することは極めて困難でした。大型レーザーを使った実験的な研究が、宇宙の様々な未解決の問題に貢献できると期待されます。ミクロの物理がマクロな現象を支配するプラズマの普遍的な性質の解明が進展し、将来的には核融合研究の進展と理解にも寄与すると考えられます。

担当研究者

教授 蔵満 康浩(工学研究科 電気電子情報工学専攻)

キーワード

プラズマ科学/レーザー/宇宙・天体プラズマ/高エネルギー密度科学/地球惑星磁気圏

応用分野

医療・ヘルスケエネルギー/宇宙/量子ビーム

参考URL

https://www.nature.com/articles/s41467-018-07415-3

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。