研究 (Research)

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高性能なカドミウムフリー量子ドットの開発とデバイスへの利用 (Development of high-performance cadmium-free quantum dots and their use in devices)

教授 桑畑 進、准教授 上松 太郎(工学研究科 応用化学専攻) KUWABARA Susumu , UEMATSU Tarou(Graduate School of Engineering)

  • 理工情報系 (Science, Engineering and Information Sciences)
  • 工学研究科・工学部 (Graduate School of Engineering, School of Engineering)

特徴・独自性

数ナノメートルの半導体微粒子である「量子ドット」は、光機能材料の最小単位であり、照明、ディスプレイ、光通信の高性能化を支援する基本コンポーネントとして注目を集めている。スペクトル半値幅が狭く、色純度の高い「バンド端発光」を特徴とし、高発色の液晶ディスプレイに搭載されるなど、社会実装も進んでいる。しかし、優れた量子ドットは総じてカドミウム化合物であるため、新材料開発の機運に乗じてカドミウムフリーの低毒性「硫化銀インジウム量子ドット」を開発した。ところがその発光はスペクトル半値幅の広い「欠陥発光」であり、カドミウム化合物のようには扱えないと考えられてきた。数年前、ナノ粒子表面で起こる分子レベルの変化と量子ドットの発光に関して基礎的研究を行っていた我々は、欠陥発光の原因がコア結晶内部ではなく、表面にあると考えるようになった。そして結晶性が乏しく、当時誰も注目していなかった材料である「硫化ガリウム」で粒子表面を覆ったところ、欠陥のない界面が形成され、色純度に優れたバンド端発光を得ることに世界で初めて成功した。

研究の先に見据えるビジョン

非晶質硫化ガリウムによるナノ粒子表面改質の成功は、高結晶材料を重視する従来型の量子ドット設計に一石を投じた。この知見を粒子間の電気的結合にも応用し、量子ドットELやレーザーなどの次世代デバイス開発に貢献する。

担当研究者

教授 桑畑 進、准教授 上松 太郎(工学研究科 応用化学専攻)

キーワード

カドミウムフリー/量子ドット蛍光体/バンド端発光/コア/シェル構造

応用分野

ディスプレイ用バックライト/量子ドットEL

参考URL

https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2018/20180824_2

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。