研究

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原子間力顕微鏡(AFM)ケルビンプローブフォース顕微鏡(KPFMによる酸化チタン表面上の酸素原子の電荷状態の認識と操作

准教授 LI YANJUN(工学研究科 物理学系専攻)

  • 理工情報系
  • 工学研究科・工学部

特徴・独自性

二酸化チタン表面上における酸素分子の化学反応の理解は、触媒開発の分野において非常に重要であるが、その反応機構は、未解明である。この実験は、カンチレバーを高い共振周波数で小振幅動作させることが可能な高感度・高分解能な原子間力顕微鏡を開発し、この顕微鏡を用いて二酸化チタン表面における酸素分子の振る舞いを原子スケールで観察した。原子間力顕微鏡は、トータルの電荷量に関係した物理量を測定できるため、表面の電荷移動現象を容易に評価できるという利点がある。
研究の結果、二酸化チタン表面に吸着した酸素分子・原子の電荷状態の観察と電荷状態の操作に成功した。即ち、2個の電荷を有する酸素原子に解離することを明瞭に観察できるととともに、個々の酸素原子の電荷状態を制御することができた。また、酸素分子に対して2個の電子を注入・引き抜くことによって解離と結合の操作が可能であった。さらに、密度汎関数理論の結果から、この結合制御には酸素分子に存在する反結合軌道の電子の存在が大きく関わっていることがわかった。

研究の先に見据えるビジョン

原子間力顕微鏡とケルビンプローブ力分光法を用いることにより、今後、様々な金属酸化物表面での触媒反応機構を原子レベルで解明できると期待される。

担当研究者

准教授 LI YANJUN(工学研究科 物理学系専攻)

キーワード

AFM, KPFM, Manipulation of the Charge State, Oxygen Adatom, Rutile TiO2 (110) /原子間力顕微鏡/ケルビンプローブフォース顕微鏡/ルチル型酸化チタン/酸素原子/電荷状態の操作

応用分野

医療・ヘルス医療・ヘルスケア/創薬

参考URL

https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/jacs.8b07745
https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acsnano.9b01792

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。