研究

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時間分解静電気力顕微鏡の開発と電荷ダイナミクスの画像化

教授 松本 卓也(理学研究科 化学専攻)

  • 理工情報系
  • 理学研究科・理学部

特徴・独自性

静電気力顕微鏡は高い空間分解能で表面電荷を見ることができる手法として材料科学、生命科学、デバイス工学を含む広範な分野で利用されている。近年、この手法にパルス光やパルス電圧を組み合わせて時間分解能を付与する試みが精力的に行われているが、時間分解能を上げると十分な検出感度を得ることが難しくなることから、多くは原理検証実験にとどまっていた。松本グループでは、原子間力顕微鏡で用いる探針が高い周波数で振動していることを利用して、探針の動きとパルスレーザーによる電荷生成を同期する探針同期時間分解静電気力顕微鏡を開発し、300ナノ秒の時間分解能と高い検出感度を両立した。本手法をドナー層とアクセプター層の境界が明確に分かれた有機太陽電池二層膜に適用し、電荷の再結合の過程を動画で撮影することに成功した。さらにポリアニリン薄膜へ電荷をパルス注入することにより、移動度とキャリア密度を分離して観測することに成功した。

研究の先に見据えるビジョン

表面電荷の動きを高い時空間分解能で動画として観察する手法は、有機太陽電池、有機トランジスタ、コンデンサ、電池などのデバイスや触媒反応、光合成反応など、電荷ダイナミクスが関係する広範な分野への応用が期待される。

ポリアニリン薄膜への電荷注入による時間分解表面電荷画像

担当研究者

教授 松本 卓也(理学研究科 化学専攻)

キーワード

静電気力顕微鏡/時間分解計測/表面電荷

応用分野

太陽電池/有機エレクトロニクス/表面表面触媒

参考URL

https://nanochem.jp
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-02/ou-hsi021419.php
https://www.alphagalileo.org/en-gb/Item-Display/ItemId/175359
https://twitter.com/NatureJapan/status/1110086878844248064
https://www.facebook.com/NatureJapan/posts/2278737618844600

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。