研究

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細胞の“場所”を制御した複雑な生体組織モデルの創製

教授 松﨑 典弥(工学研究科 応用化学専攻)

  • 理工情報系
  • 工学研究科・工学部

特徴・独自性

創薬分野では、ヒトの薬物応答を予測可能なヒト外挿性の高い組織モデルの生体外構築が求められている。これまで様々な組織工学・再生医療技術が報告されてきた。生体の組織・臓器は一種類の細胞のみで構成されているわけではなく、複数種類の細胞がその場所や構造が制御されて存在している。しかし、これまで、複数種類の細胞のその三次元配置を精密かつ安定に制御した研究は報告されていない。我々は、生体の基底膜にインスパイアされた人工基底ナノ薄膜を生きた細胞表面に作製することで、細胞の場所が精密に制御された三次元組織モデルを創製した。生きた細胞表面におよそ50 nm程度の人工基底膜を作製することで、上皮・内皮系の細胞と間葉系の細胞の局在を制御できることを見出した。また、細胞表面の人工基底ナノ薄膜をin situで架橋させることで、より長期間細胞の局在を維持できることが明らかとなった。本手法は、複数種類の細胞の局在を制御した生体組織モデルの創製を可能とする新しい組織工学技術になると期待される。

研究の先に見据えるビジョン

本研究の技術がもたらす効果として、再生医療技術や創薬スクリーニングだけでなく培養肉の作製など、幅広い分野への応用が期待される。日本の新しい産業技術となり、健康社会の実現や社会問題の解決だけでなく、基礎学問の深化にも貢献すると考えられる。

担当研究者

教授 松﨑 典弥(工学研究科 応用化学専攻)

キーワード

再生医療/組織工学/創薬スクリーニング/ナノ薄膜/細胞区画化

応用分野

医療・ヘルスケア/創薬/農薬/培養肉

参考URL

http://www.chem.eng.osaka-u.ac.jp/~matsusaki-lab/

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。