研究

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スマート触媒の開発:安全性・耐久性・高活性を兼ね備える次世代型ナノ合金触媒

准教授 満留 敬人(基礎工学研究科 物質創成専攻)

  • 理工情報系
  • 基礎工学研究科・基礎工学部

特徴・独自性

私たちの研究グループは、持続可能な社会の実現に向け、安全性・耐久性・高活性を兼ね備える次世代型触媒(スマート触媒)の開発を行っている。化学工業で使われる水素化反応用の触媒は、安価な非貴金属を用いているが、発火性が高く危険である。さらに、活性が不十分であるため、高温・高水素圧を必要とする。一方、私たちは、非貴金属にリンなどを加えたナノ合金を独自の手法で合成し、それらの利用することで、発火性がなく安全で、かつ温和な反応条件(常圧水素下)で様々な水素化反応を効率よく促進する高活性なナノ触媒の開発に成功した。さらに、これらの触媒は、反応後に容易に回収・再使用を行うことができ、高い耐久性を示す。

研究の先に見据えるビジョン

本研究成果により、現行の触媒プロセスを代替する、安全かつ省エネルギー、低コストの水素化反応プロセスの開発が期待できる。実際、その実用化に向けて複数の企業とさらなる研究開発に取り組んでいる。本触媒の特徴の一つである大気安定性によって、これまでの非貴金属触媒の調製法の制約がなくなるため、さらに高機能化した合金触媒の自在合成が可能となる。現在、上記 長所を踏まえたナノ合金化技術により、水素化以外の新規触媒能も見出している。今後もリン化ナノ合金を使った新しい触媒化学を開拓していく。

担当研究者

准教授 満留 敬人(基礎工学研究科 物質創成専攻)

本学ResOUのホームページ「究みのAtoZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2021/nl85_research02/
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2014/201412_03/

キーワード

触媒/グリーンケミストリ―/ナノ粒子/合金

応用分野

エネルギーデバイス

参考URL

https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acscatal.9b05120 https://pubs.rsc.org/en/content/articlehtml/2020/sc/d0sc00247j
https://pubs.rsc.org/en/content/articlehtml/2020/ob/d0ob01603a

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。