研究

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SNSによるリスク情報の拡散メカニズムの解明

教授 三浦 麻子(人間科学研究科)

  • 人文学社会科学系
  • 人間科学研究科・人間科学部

特徴・独自性

SNS上のリスク情報拡散メカニズムを解明するために、実際に広く拡散したツイートの伝達経路を追跡して、リスクのタイプと利用者個人のネットワーク特性に注目して分析した。SNS上に利用者同士のつながりをあまり持たない利用者は、リスクのタイプにかかわらず多くのリスク情報を拡散させる傾向があったが、多くのつながりを持つ利用者は、全体としてはリスク情報をあまり拡散させない一方で、「恐ろしさ」が強く感じられる情報については拡散させやすい傾向があった。これは従来の理論モデルでは説明できないSNSにおける情報拡散メカニズムの存在を示す知見である。

研究の先に見据えるビジョン

災害大国と呼ばれる日本では、災害が発生するたびに、インターネット上、特にSNSで様々なリスク情報が大量に飛び交うことについて賛否両論が渦巻く。実際のところは「デマばかりが溢れている」わけではないが、結果的に間違いだと判明するような不確実な情報が少なくないのは事実である。本研究の結果は、SNS特有の情報拡散メカニズムの存在を示唆すると共に、虚偽情報の拡散を抑制するには信頼性をきちんと確認する「ハブ」の存在が重要であることを示唆している。こうした知見は、政府機関や官公庁、地方自治体など一次情報の発信元から市民への情報伝達方法の提案に活かせる。
最後にこの研究の責任著者である大阪電気通信大学情報通信工学部・小森政嗣先生にこの場を借りて深く御礼申し上げます。

担当研究者

教授 三浦 麻子(人間科学研究科)

※本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2021/nl85_research01/

キーワード

SNS/情報拡散/リスク情報/社会的ネットワーク/社会心理学

応用分野

リスクコミュニケーション/情報システム

参考URL

https://sites.google.com/site/psybigdata/

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。