研究

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水車型分子が駆動する高活性ハロゲン化反応

教授 三浦 雅博、講師 西井 祐二(工学研究科 応用化学専攻)

  • 理工情報系
  • 工学研究科・工学部

特徴・独自性

有機合成は世界最小のものづくりである。標的とする分子構造を効率的に組み上げるため様々な新技術が開発されてきたが、単純な分子(小分子)をつなぎ合わせて多種多様な機能を持つ素材(機能性分子)を創り出すには、その「つなぎ目」を作る技術が特に重要となるのは間違いない。塩素(Cl)や臭素(Br)といったハロゲン置換基は、あらゆる化学結合に変換できる「万能な」つなぎ目であり、これらを導入するハロゲン化反応は有機合成分野で「定石」として認識されている。我々は、水車型のトリプチセン骨格を持つスルフィド触媒Trip-SMeを独自に開発し、広範な芳香族化合物のハロゲン化反応に対して高い触媒活性を示すことを明らかとした。特筆すべきことに、従来法ではBr2やCl2などの高反応性(=高毒性・扱いづらい)試薬の使用が避けられなかった化学変換を、本手法では安価で安定なNBSとNCSを用いて達成可能であった。この優れた触媒活性を活かして、従来の合成プロセスの劇的な短縮・効率化を実現するとともに、Trip-SMe触媒を用いてのみ構築可能な新規ビルディングブロックを多数創出できた。

研究の先に見据えるビジョン

ハロゲン化反応における技術革新は、あらゆる分子設計に影響を与えることが期待できる。特に、精密な化学修飾が求められる創薬分野や、有機半導体や発光材料などの有機エレクトロニクス分野における分子創成技術として有用である。

担当研究者

教授 三浦 雅博、講師 西井 祐二(工学研究科 応用化学専攻)

※本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
三浦 雅博
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2015/201509_01/

キーワード

触媒反応/ハロゲン/有機分子触媒/芳香族分子

応用分野

創薬/有機発光素子/有機半導体

参考URL

https://www-chem.eng.osaka-u.ac.jp/hirano-lab/

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。