研究

最終更新日:

骨の形成過程の解明

教授 村上 伸也、助教 岩山 智明(歯学研究科 口腔治療学教室)

  • 医歯薬生命系
  • 歯学研究科・歯学部

特徴・独自性

骨の形成過程においては、骨を作る細胞から30-300ナノメートルの基質小胞と呼ばれる骨の素となる微粒子が細胞外へと分泌されることが必須です。この基質小胞が初めて電子顕微鏡によって観察されたのは、1967年にさかのぼりますが、生きたままの細胞をnmオーダー(10億分の1メートル)で観察をできる技術が存在せず、その形成・分泌過程についての詳細な解明が遅れていました。本研究では「誘電率顕微鏡」や「超解像蛍光顕微鏡」といった最新の観察法と、組成分析、ラマン顕微鏡、ゲノム編集、といった様々な解析技術を組み合わせこの課題に取り組みました。その結果、生きた細胞の中で基質小胞を観察することに世界で初めて成功し、基質小胞がミトコンドリア近傍で形成され、リソソームによって運搬され、細胞外へと分泌されていることが明らかとなりました。本研究成果より、細胞の老廃物を処理する細胞内小器官として知られるリソソームが、骨形成においても重要な役割を担っていることが明らかになりました。

研究の先に見据えるビジョン

本研究成果により、骨や歯といった硬組織形成の基本的なメカニズムに関する理解が深まり、骨粗鬆症や歯周病等の硬組織疾患の病態解明や治療法の開発につながることが期待されます。さらに、誘電率顕微鏡は様々な微小物質を溶液中で直接観察することが可能であり、様々な分野での応用が期待されます。

担当研究者

教授 村上 伸也、助教 岩山 智明(歯学研究科 口腔治療学教室)

※本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
村上 伸也
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2020/specialite_001_4/

キーワード

骨芽細胞/骨/基質小胞/リソソーム/誘電率顕微鏡

応用分野

医療/歯学

参考URL

https://advances.sciencemag.org/content/5/7/eaax0672
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2019/20190704_1
http://www.jsbmr.jp/1st_author/403_iwayama_murakami.html

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。