研究 (Research)
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生体内の老化細胞を除去する新規治療ワクチン (Novel therapeutic vaccines to eliminate senescent cells in vivo)
寄附講座教授 中神 啓徳(医学系研究科 健康発達医学寄附講座)/ 医員 吉田 翔太(医学系研究科 老年・総合内科学) NAKAGAMI Hironori, YOSHIDA Shota(Graduate School of Medicine)
特徴・独自性
細胞に様々なストレスがかかりDNA損傷が蓄積することによって、細胞老化(Cellular Senescence)が促進されることが知られています。近年、この老化細胞から炎症性サイトカインなどが多量に分泌され、周辺の細胞に悪影響を及ぼし組織老化を促進する現象、SASP(senescence-associated secretary phenotype:老化関連分泌現象) が報告されています。遺伝子改変マウスでこの老化細胞を生体から除去した結果、寿命の延長と加齢に伴う様々な症状が抑制できたことから、老化細胞を除去することによる抗老化治療の概念(senolysis)が提唱されています。
本研究グループは、生活習慣病・難治性疾患を標的とした抗体産生誘導を主眼とした新しいタイプの治療ワクチンの研究開発を元に。今回老化T細胞除去ワクチンの開発に成功しました。
研究の先に見据えるビジョン
本研究は世界中で開発が進む老化細胞除去治療(Senolysis)の治療ツールとして、ワクチンを用いた世界初の研究成果であり、これまで感染症予防やがん治療に主として用いられてきたワクチンの新しい適応の可能性を示したものです。がん細胞や細菌・ウイルスに対して老化細胞の数はそれほど多くなく、しかも慢性的な進行であるため、研究グループのコンセプトである抗体を主とした産生誘導により、ゆっくりと持続的な効果を目指す治療標的としては最適であると考えられます。今後、様々な加齢関連疾患への新しい治療法となる可能性を秘めています。
担当研究者
寄附講座教授 中神 啓徳(医学系研究科 健康発達医学寄附講座)
医員 吉田 翔太(医学系研究科 老年・総合内科学)
キーワード
老化T細胞/SASP/ワクチン
応用分野
医療・ヘルスケア/創薬