研究 (Research)
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医学・生命科学や創薬に革新をもたらすクライオ電子顕微鏡 (Electron cryomicroscopy revolutionises medical and life sciences and drug discovery)
特任教授 難波 啓一(生命機能研究科 日本電子YOKOGUSHI協働研究所) NAMBA Keiichi(Graduate School of Frontier Biosciences)
特徴・独自性
生命の仕組みは生体を構成するタンパク質や核酸など数多くの生体分子の膨大で動的な相互作用による情報・エネルギー・物質のやり取りで支えられているため、生体分子やその複合体の立体構造情報は医学・生命科学の基盤情報であり創薬等のイノベーションの中核をなす。本協働研究所では、近年急速な進歩を遂げて生体分子構造解析の基幹技術となったクライオ電子顕微鏡法に一層の革新をもたらすことを目指して装置システムの高度化技術開発を進めている。タンパク質のアミノ酸を解像できる近原子分解能(~3Å)の解析に必要な数千枚の電子顕微鏡像の撮影には最近まで数日を要したが、日本電子株式会社と約10年をかけて共同開発したクライオ電子顕微鏡CRYOARMでは、わずか10数時間のデータ収集で原子分解能(1.2 Å台)の解析が可能になった。
研究の先に見据えるビジョン
クライオ電子顕微鏡法ではX線結晶解析法に必要な試料の結晶化という困難で時間のかかる過程が不要で、しかもわずか数マイクログラムの水溶液試料で解析可能である。この構造解析法の高スループット化と高分解能化は、医学・生命科学が必要とする何百万何千万にもおよぶ膨大な数の生体分子複合体の立体構造情報の取得に貢献してその急速な発展を推進し、立体構造ベースの創薬スクリーニングの高速化も実現するものである。
担当研究者
特任教授 難波 啓一(生命機能研究科 日本電子YOKOGUSHI協働研究所)
※本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2014/201409_01/
キーワード
クライオ電子顕微鏡/生体分子立体構造/最先端技術開発/原子分解能/高スループット
応用分野
医療・ヘルスケア/創薬/省エネルギーデバイス