研究 (Research)

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眼疾患に対する再生医療の研究開発 (Research and development of regenerative medicine for eye diseases)

教授 西田 幸二(医学系研究科 眼科学) NISHIDA Kohji(Graduate School of Medicine)

  • 医歯薬生命系 (Medical, Dental, Pharmaceutical and Life Sciences)
  • 医学系研究科・医学部(医学専攻) (Graduate School of Medicine, Faculty of Medicine (Division of Medicine))

特徴・独自性

当研究室は、再生医療の開発では日本におけるトップランナーの一つであり、ヒトiPS細胞の眼疾患への応用を推進している。近年我々は、ヒトiPS細胞から発生期の眼の原基(角膜上皮、網膜、水晶体上皮等の主要細胞群)を含んだ2次元オルガノイド培養の技術開発に世界で初めて成功した。SEAM(self-formd ectodermal autonomous
multi-zone)と称する本2次元オルガノイドは、同心円状の4つの帯状構造からなり、3番目の帯状構造中に角膜上皮前駆細胞が存在する(図1)。さらに本研究を発展させ、角膜上皮前駆細胞の単離による、ヒトに応用可能なヒトiPS細胞由来角膜上皮細胞シートの作製に成功し、臨床応用へつなげた。また失明患者の視覚機能を回復させる人工視覚の研究も行っており、3 度の臨床研究を経て、2021年から企業主導治験を開始予定である。

図1 SEAMには目全体の各部分の細胞が誘導される

研究の先に見据えるビジョン

当研究室は、2019年7月にヒトiPS細胞由来の角膜上皮細胞シートを角膜上皮幹細胞疲弊症の患者に他家移植するFirst-in-Human臨床研究を世界で初めて実施した(図2)。臨床研究では全4例の移植を行い安全性を確認した。今後は治験につなげ、5年前後に標準医療への発展を目指している。本法は、既存治療法における問題点、特にドナー不足や拒絶反応などの課題を克服できることから、革新的な治療法として世界中で角膜疾患のため失明状態にある多くの患者の視力回復に貢献することが期待される。

図2 ヒトiPS細胞由来の角膜上皮細胞シート移植

担当研究者

教授 西田 幸二(医学系研究科 眼科学)

※本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
西田 幸二
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2020/specialite_001_2/

キーワード

再生医療/角膜/ヒトiPS細胞/培養角膜上皮細胞シート移植

応用分野

医療・ヘルスケア/創薬

参考URL

https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2018/20181205_2
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2020/20200416_1

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。