研究

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オートファジーを抑制する漢方薬四逆散の作用機序の解明

教授 野田 健司 特任研究員 碇 純子(歯学研究科 口腔科学フロンティアセンター)

  • 医歯薬生命系
  • 歯学研究科・歯学部

特徴・独自性

漢方薬はその薬効にもとづき長い歴史をへて体系化されてきたが、その有効成分の同定や、作用機序などの解明は十分でないのが現状である。今回私達は、漢方薬の一つ四逆散が細胞内の分解機構であるオートファジーに影響を与える事を明らかにした。近年オートファジーは、種々の生理現象や疾患(がん 神経変性疾患 生活習慣病 等)に関与していることが明らかとされ、研究が進んでいる。この研究の成果により、四逆散の細胞への作用の一つがオートファジーの抑制であることが明らかになり、オートファジー関連疾病に対する治療へと繋がる可能性が示唆される。特に、オートファジー阻害効果を示すクロロキンが膵臓がんの腫瘍細胞の増殖を抑えることが報告されているが、様々な副作用が問題になっている。四逆散が、安全なオートファジー阻害剤として利用されることが期待される。

研究の先に見据えるビジョン

近年新薬開発費の高騰に伴い、既承認薬を別の疾患の治療に繋げる「ドラッグリポジショニング」が注目されており、医療用漢方薬はすでに医療現場で利用されていることから、臨床応用へと直結する事が期待される。

担当研究者

教授 野田 健司 特任研究員 碇 純子(歯学研究科 口腔科学フロンティアセンター)

キーワード

オートファジー/漢方薬

応用分野

創薬

参考URL

https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0230156

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。