研究 (Research)

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量子インターネットを実現する半導体量子ドット量子インターフェースの開発 (Quantum interfaces based on semiconductor quantum dots for realizing quantum internet)

教授 大岩 顕(産業科学研究所 量子システム創成研究分野) OIWA Akira(SANKEN (The Institute of Scientific and Industrial Research))

  • 理工情報系 (Science, Engineering and Information Sciences)
  • 産業科学研究所 (SANKEN (The Institute of Scientific and Industrial Research))

特徴・独自性

既存光ファイバー網などによる長距離の量子情報通信のネットワークは、量子鍵配送など絶対に安全な通信をもたらすなど今後のIoT社会に不可欠な社会インフラである。この実現のためには量子中継という技術が必要で、私たちの研究は電気的に高い制御性を持つ量子ドット中の電子スピンを使ってこの量子中継器を実現する独自の発想に基づいた研究開発を行っている。通信波長との整合性、伝令付きもつれ配信、中継地点での完全ベル測定、そして将来的には誤り訂正の導入など、量子ドットのスピンの電気制御性と集積性の高さを生かした様々な利点を持ち、量子中継器として有望な系である。現在は量子インターフェースとしての原理実証が達成されつつあるところで、5年から10年にわたり量子中継の原理実証から実地試験を目指している。

研究の先に見据えるビジョン

本研究の先には、まず量子中継器として長距離量子情報通信が可能になり、是帯に安全な通信がもたらされる。さらにその先には、量子コンピュータや量子センサなど量子デバイスが量子力学的に接続された量子情報のインターネットの構築がある。このいわば量子インターネットは将来、より高度な量子情報の利活用には必須のインフラであり、一層、安全・安心で豊かな社会の実現ともに、経済・産業・安全保障が飛躍的に発展することが期待される。

偏光単一光子の量子情報を量子ドット中の単一電子スピンへ変換する量子インターフェースの概念図:黄色のパターンが量子ドットを形成するゲート電極を表す。
量子ドットの大きさは数百nm(10-9m)程度である。照射された円偏光を持つ単一光子が量子ドットに吸収されると単一電子が生成される。光子の偏光に載せた量
子情報は電子スピンへ転写される。

担当研究者

教授 大岩 顕(産業科学研究所 量子システム創成研究分野)

キーワード

量子ドット/量子インターフェース/量子インターネット

応用分野

情報通信/セキュリティ

参考URL

https://www.sanken.osaka-u.ac.jp/labs/qse/

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。