研究 (Research)

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心不全患者における肝臓エラストグラフィー法による前負荷および臓器障害評価法の開発 (Development of methods to assess preload and organ damage using liver elastography in patients with heart failure)

講師 大谷 朋仁(医学系研究科 循環器内科学)、教授 坂田 泰史(医学系研究科 循環器内科学) OHTANI Tomohito , SAKATA Yasushi(Graduate School of Medicine)

  • 医歯薬生命系 (Medical, Dental, Pharmaceutical and Life Sciences)
  • 医学系研究科・医学部(医学専攻) (Graduate School of Medicine, Faculty of Medicine (Division of Medicine))

特徴・独自性

超高齢化社会を迎え、心筋梗塞や弁膜症などのあらゆる心臓疾患の最終的な表現型の1つである心不全は増加の一途をたどっている。心不全は他臓器への影響も大きく肝臓、腎臓などへ傷害をきたす。我々は心臓と肝臓との関係に注目し、剪断波を用いたエラストグラフィー法で評価される肝臓の硬さ(肝硬度)が心不全の重要な因子である前負荷の変化で生じる肝うっ血を反映することから、肝硬度が右房圧と相関することを見出し、非侵襲的に右房圧を定量的に簡便に評価できることを明らかにした。また、肝硬度の上昇が心不全患者のその後の予後不良と関連することや、心不全患者に多い低栄養を反映するリンパ球数の低下や栄養指標の悪化とも関連することを報告し、現在、多施設前向き臨床試験により本指標の有用性を検証中である。

研究の先に見据えるビジョン

心不全管理の要である中心静脈圧(前負荷指標)の評価は、これまで非侵襲的な定性評価法か侵襲的な定量評価法であったが、本評価法は誰でも簡便に再現性をもって非侵襲的な定量評価を可能とする。また、右房圧との相関から外れる肝硬度を示す症例では、器質的な肝線維化などの変化が生じており、侵襲的な肝生検を行わずに非侵襲的に心不全の臓器障害を評価できる可能性がある。将来的には本評価法のガイド下での治療が心不全診療の成績を向上させることが期待される。

担当研究者

講師 大谷 朋仁(医学系研究科 循環器内科学)、教授 坂田 泰史(医学系研究科 循環器内科学)

※本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
坂田 泰史
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2020/x7xskx/

キーワード

心不全/臓器連関/肝硬度/非侵襲的右房圧定量評価法/肝線維化

応用分野

医療・ヘルスケア/機器開発

参考URL

http://www.cardiology.med.osaka-u.ac.jp/

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。