研究

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フラーレンの部分構造“バッキーボウル”を壁面に持つ曲面空間の構築

教授 櫻井 英博、准教授 燒山 佑美(工学研究科 応用化学専攻)

  • 理工情報系
  • 工学研究科・工学部

特徴・独自性

フラーレンC60の部分構造であるバッキーボウルは湾曲したπ電子系を有しており、種々のユニークな性質を示すことから、機能性分子集合体の構成成分として大きく注目されている。しかしながらお椀同士で重なり合う力が強く、2次元層状構造を作りやすい。我々は代表的なバッキーボウルであるスマネンをビルディングブロックとして、その高い対称性と骨格柔軟性を利用した多様なネットワーク化合物の構築を行っている。例えば骨格に金属イオンとの結合部位を導入することでお椀同士の重なり合いを抑制し、美しいベルト状や球状の3次元的空間を有する細孔性ネットワーク錯体を得ている。これらの空間は曲がったπ電子系で囲まれていることから、空間内に取り込んだ分子の性質に対しこれらのπ電子がどのような影響を与えるかに興味が持たれる。また、今回得られたネットワーク錯体は分子を空間内に閉じ込め、かつ規則正しく並べるのに適した構造体となっており、これを利用した機能の発現が期待される。

研究の先に見据えるビジョン

スマネンは液晶のメソゲンとしての特性、巨大ゼーベック係数を有する熱電特性、金属表面上でのおわん反転制御、動的超分子形成など、エネルギー・産業分野への展開が可能な「使えるマテリアル」であることが明らかになりつつある。研究成果を様々な応用技術へと展開することで持続可能な社会の実現へと貢献したい。

担当研究者

教授 櫻井 英博、准教授 燒山 佑美(工学研究科 応用化学専攻)

キーワード

バッキーボウル/曲面π共役系/フラーレン/細孔性ネットワーク錯体

応用分野

物質貯蔵/デバイス

参考URL

https://www.chem.eng.osaka-u.ac.jp/̃sakurai-lab/
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2019/20191029_1

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。