研究

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難治性がん治療に向けた核酸医薬の開発

特任准教授 下條 正仁、教授 小比賀 聡(薬学研究科 生物有機化学分野)

  • 医歯薬生命系
  • 薬学研究科・薬学部

特徴・独自性

難治性がんに分類される小細胞肺がん発症に関与するタンパク質SRRM4(Serine/Arginine repetitive matrix protein 4)を標的としたアンチセンス核酸を利用し、がん細胞死を特異的に誘導する分子標的治療薬を開発中である。核酸医薬は従来の医薬品とは異なり、疾患関連遺伝子発現を特異的に制御し、導入する核酸等を最適化することで治療効果が高く、副作用が少ない治療薬として注目されている。現在、独自に開発した架橋型人工修飾核酸をアンチセンス核酸に導入し、安全性を重視した実用化可能な核酸医薬として最適化を進めている。さらに、SRRM4発現に関与する血液中の疾患特異的miRNA(miR 4516)を発見し、コンパニオン診断薬として利用する個別化医療実現へ向けた研究を進めている。

図1 アンチセンス核酸の作用機序
図2 マウスにおけるアンチセンス核酸の抗腫瘍効果

研究の先に見据えるビジョン

疾患特異的アンチセンス核酸治療薬と患者を層別化する血液中miRNAを解析する低侵襲性コンパニオン診断薬を組み合わせた個別化医療が実現できると考える。阪大発ベンチャーであるルクサナバイオテク株式会社とともに治療効果と安全性の高い核酸医薬開発を進め、小細胞肺がん及び類似した治療抵抗性前立腺がん・乳がんを対象に難治性がん治療の実現へ向けた医薬開発を目指している。

図3 個別化医療の概略

担当研究者

特任准教授 下條 正仁、教授 小比賀 聡(薬学研究科 生物有機化学分野)

キーワード

難治性がん/アンチセンス核酸/核酸医薬/個別化医療

応用分野

医療・ヘルスケア/創薬

参考URL

http://www.phs.osaka-u.ac.jp/homepage/b007/

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。