研究 (Research)

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多重配列アラインメント計算手法の開発およびタンパク質立体構造情報の利用 (Development of multiple sequence alignment calculation methods and use of protein conformational information)

教授 Daron M. Standley、准教授 加藤 和貴(微生物病研究所 ゲノム情報解析分野) Daron M. Standley, KATOU Kazutaka(Research Institute for Microbial Diseases)

  • 医歯薬生命系 (Medical, Dental, Pharmaceutical and Life Sciences)
  • 微生物病研究所 (Research Institute for Microbial Diseases)

特徴・独自性

DNA塩基配列決定技術の進歩により、利用可能な配列情報の量は増加し続けている。配列アラインメントは配列解析の基盤的技術であり、加藤准教授は多重配列アラインメントプログラム MAFFT を2002年頃から継続的に開発している。MAFFTプログラムは、生物多様性に関する解析や医学的応用などいろいろな目的のために使われてきた。例えば、海底の熱水噴出口から発見された古細菌のグループの系統解析 (Zaremba-Niedzwiedzka et al. 2017,Imachi et al 2020)、新型コロナウイルスがヒトに感染する前の宿主の特定 (Zhou et al 2020, Xiao et al 2020) などである。その他多くの研究に利用された結果、MAFFTプログラムの最新版を記述した論文(Katoh et al 2019) はWeb of ScienceにおいてHot Paper (被引用回数上位0.1%) にランクされた。また、Standley教授と協力して、タンパク質立体構造を考慮した多重アラインメント計算サービスMAFFT-DASHを開始した (Rozewicki et al 2019)。

研究の先に見据えるビジョン

MAFFTプログラムが新型コロナウイルスの起源を探るために活用されたことは、当初の想定を超えていた。すなわち、本来の目的はアミノ酸配列の系統解析でありウイルスゲノムを対象としていなかったが、Katoh et al (2002) で提案したアルゴリズムが潜在的に長い塩基配列の処理に効果的であったため、十数年を経て現実の問題への対応に直接貢献できた。このことは、基礎研究がどのように役立つか簡単には予見できないことを示している。現在はMAFFTプログラムの継続的開発とユーザ支援を優先的に行っているが、並行して、後年何かの役に立つかもしれない脊椎動物DNAポリメラーゼの分子進化に関する研究も進めている。

担当研究者

教授 Daron M. Standley、准教授 加藤 和貴(微生物病研究所 ゲノム情報解析分野)

キーワード

バイオインフォマティクス/配列解析/構造解析/アラインメント

応用分野

医療・ヘルスケア/創薬/生物多様性解析

参考URL

https://mafft.cbrc.jp/alignment/server/
https://sysimm.org/dash/

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。