研究

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エピジェネティクスの化学的制御に基づいた難治性疾患治療薬の創製

教授 鈴木 孝禎(産業科学研究所 複合分子化学研究分野)

  • 理工情報系
  • 産業科学研究所

特徴・独自性

DNAの塩基配列の変化に依存しないで遺伝子の発現を制御する機構は、「エピジェネティクス」と呼ばれている。エピジェネティクスの異常は、がんや中枢神経系疾患などの疾病を引き起こす。「エピジェネティクスの異常状態を正常状態に戻すことにより、病気の細胞は健康な正常細胞に変わり、疾患が治癒される」という仮説を基に、エピジェネティクス制御化合物の創製研究を行ってきた。具体的には、エピジェネティクスの異常を引き起こす標的タンパク質自身に阻害剤を合成させる、独自の「標的誘導型合成」により、エピジェネティクス制御化合物の創製研究を世界に先駆けて行ってきた。創出したピジェネティクス制御化合物が病気の細胞を健康な正常細胞に変える機能を有することを見出し、抗がん剤、抗認知症薬、抗うつ薬などの治療薬として応用可能であることを示してきた。

研究の先に見据えるビジョン

日本は、世界屈指の長寿命国である(男性の平均寿命 80.21歳、女性の平均寿命 86.61歳 (2018年))。一方、自立した生活が送れる「健康寿命」と平均寿命には、約10年の開きがあり、寝たきり期間が長いことが問題となっている(男性の健康寿命 71.19歳、女性の平均寿命 74.21歳 (2018年))。本研究を医療に応用することにより、健康なまま寿命を全うする時代の到来を期待している。

担当研究者

教授 鈴木 孝禎(産業科学研究所 複合分子化学研究分野)

キーワード

エピジェネティクス/阻害剤/創薬

応用分野

医療・ヘルスケア/創薬

参考URL

https://www.sanken.osaka-u.ac.jp/labs/cmc/research/

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。