研究 (Research)
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有機リン化合物をレドックス触媒とする貴金属フリーな触媒反応の開発 (Development of precious metal-free catalysis using organophosphorous compounds as redox catalysts)
教授 鳶巣 守(工学研究科 応用化学専攻) TOBISU Mamoru(Graduate School of Engineering)
特徴・独自性
クロスカップリング(2010年ノーベル化学賞)、メタセシス(2005年ノーベル化学賞)、不斉水素化(2001年ノーベル化学賞)など遷移金属錯体を用いる触媒反応は、従来法では合成不可能な有用物質合成を可能にしてきた。その半面、持続可能性の観点からは希少金属の利用は問題となる。本研究では、希少金属の代わりに典型元素であるリンを触媒として用いる新反応を開発した。リン原子は遷移金属とは異なり価数を変えにくいので、レドックスを伴う変換反応の触媒として機能することは困難であると考えられてきたが、本反応では3価と5価のリン種が相互変換することで、通常では進行することがない反応を進行させることに成功した。
研究の先に見据えるビジョン
希少な遷移金属の持つ可逆的な価数変化という特性を、リンをはじめとする安価で豊富に存在する典型元素や典型金属でも発現させることができれば、現在稼働している希少金属触媒による化学プロセスをより安価で持続可能性の高いものへと置き換えることができる。のみならず、遷移金属触媒では困難なC-F結合形成などの反応も実現できる可能性がある。
担当研究者
教授 鳶巣 守(工学研究科 応用化学専攻)
※本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2018/wmmde0/
キーワード
触媒/典型元素/フッ素化/リン
応用分野
創薬/有機電子材料