研究 (Research)

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トキソプラズマ原虫の病原性を免疫学の視点から考える (Pathogenicity of Plasmodium toxoplasma from an immunological perspective)

教授 山本 雅裕(微生物病研究所 感染病態分野) YAMAMOTO Masahiro(Research Institute for Microbial Diseases)

  • 医歯薬生命系 (Medical, Dental, Pharmaceutical and Life Sciences)
  • 微生物病研究所 (Research Institute for Microbial Diseases)

特徴・独自性

現在、新型コロナウイルスのパンデミックが毎日ニュースになっていますが、世界人口の3分の1に感染している寄生虫トキソプラズマ原虫はとっくの昔にパンデミックを成し遂げて、ウィズコロナならぬ、「ウィズトキソ」の状態です。この「ウィズトキソ」は、一見するとトキソプラズマ原虫の側もヒトの側も何事もなく静かな気がしますが、病気を起こそうとするトキソプラズマ原虫由来の病原性因子とそれを防ぐための我々宿主(ヒトを含む温血動物)の免疫系の間のダイナミックな均衡状態で成り立っています。しかし、たくさんある病原性因子がどの宿主免疫系を抑制しているかはよく分かっていません。そこで、私はトキソプラズマ原虫の病原性メカニズム(宿主免疫系からどのようにして逃れ、また操っているのか)を微生物学的に深く研究しています。特徴は、トキソプラズマ原虫の病原性メカニズムの研究をしているのに、結果としては、宿主免疫系に関連する新物質あるいは新原理、すなわち、免疫学の新しい発見につながっているという点です。

宿主細胞の中のトキソプラズマの電子顕微鏡写真 (スケールバーは1μm)

研究の先に見据えるビジョン

その時々で臨機応変に面白いことをやっているうちに、役立つことにつながるかもしれないという気がします。日本で最も問題の寄生虫による病気はトキソプラズマ症だと思いますが、トキソプラズマの基礎医学研究だけではなく、臨床医学や検査学、獣医畜産学などにも着目し、新しい作用機序の抗生物質やワクチンの開発、検査法の開発につなげていきたいです。

マクロファージの中で宿主免疫系に攻撃されるトキソプラズマの写真 (スケールバーは10μm)

担当研究者

教授 山本 雅裕(微生物病研究所 感染病態分野)

※本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2018/371b5t/

キーワード

トキソプラズマ/免疫学/病原性因子

応用分野

感染症/医療・ヘルスケア/創薬

参考URL

https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2012/20120713_1
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2015/20151002_2
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2017/20170613_1
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2014/20140916_1
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2015/20150804_1
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2018/20181009_1
http://immpara.biken.osaka-u.ac.jp/research

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。