研究

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口腔内スプリントでトゥレット症候群の治療に貢献し、関連する脳内神経機構を探る

特任研究員 吉田 篤(歯学研究科 口腔解剖学第二教室)、講師 村上 旬平(歯学部附属病院 障害者歯科治療部)

  • 医歯薬生命系
  • 歯学研究科・歯学部
  • 歯学部付属病院

特徴・独自性

トゥレット症候群は音声チックや運動チックが一年以上持続し、多くは前駆衝動などを伴う精神神経疾患です。薬物療法、認知行動療法、脳深部刺激療法などの治療が行われますが、新たなアプローチが望まれていました。我々の研究グループは、歯ぎしりや顎関節症などの歯科治療で使われる口腔内スプリント(マウスピース)を装着し咬合することで、チックが有意に減少し、その減少率はスプリント装着の開始年齢やチックの発症年齢が低いほど高いことを証明しました。さらに一部の患者さんでは前駆衝動も軽減されることを報告しました。口腔内スプリントの効果は、その咬合によって賦活される咀嚼筋筋紡錘感覚が関与していると考えています。我々の研究は、本症候群の今後の治療に口腔内スプリントが積極的に応用されるために必要な、(1)口腔内スプリントの装着前後の患者さんの脳活動の変化のrs-fMRIを用いた解析と、(2)賦活される咀嚼筋筋紡錘感覚の脳内神経機構を解明する動物実験に繋がります。

Figure1 スプリント(マウスピース)とその装着
Figure2 スプリント(マウスピース)で症状軽減

研究の先に見据えるビジョン

口腔内スプリントの咬合が 、トゥレット症候群のチックや生きづ らさを緩和させる治療法として広く応用されることが 期待されます。加えて、口腔内スプリントの咬合の作用メカニズ ムの解明が、本症候群の発症のメカニズ ムの解明にも寄与すると期待されます。

Figure3 スプリント(マウスピース)の症状改善効果

担当研究者

特任研究員 吉田 篤(歯学研究科 口腔解剖学第二教室)、講師 村上 旬平(歯学部附属病院 障害者歯科治療部)

キーワード

トゥレット症候群/チック/マウスピース/口腔内スプリント/筋紡錘感覚

応用分野

医療・ヘルスケア/創薬

参考URL

https://www.dent.osaka-u.ac.jp/admission/admission_000278.html
https://web.dent.osaka-u.ac.jp/disabl/

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2021(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。