研究 (Research)

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オートファジーと生活習慣病 (Autophagy in lifestyle-related diseases)

教授 吉森 保(生命機能研究科細胞内膜動態研究室/医学系研究科遺伝学教室) YOSHIMORI Tamotsu(Graduate School of Frontier Biosciences/Graduate School of Medicine)

  • 医歯薬生命系 (Medical, Dental, Pharmaceutical and Life Sciences)
  • 医学系研究科・医学部(医学専攻) (Graduate School of Medicine, Faculty of Medicine (Division of Medicine))
  • 生命機能研究科 (Graduate School of Frontier Biosciences)

English Information

研究の概要

オートファジーは、細胞の恒常性の維持や多くの加齢性疾患の予防において極めて重要な役割を果たす細胞内バルク分解システムである。
我々は、これまでにRubicon というオートファジーを阻害する蛋白質が、老化した組織で発現増強していることを明らかにしてきた。
最近の研究で、我々は、肝臓や腎臓などの多くの組織とは対照的に、老齢のマウスの脂肪組織ではRubicon のレベルが低下し、オートファジー活性が増加していることを見出した。
脂肪細胞でRubicon を抑制してオートファジーを過剰にしたマウスを作成したところ、このマウスは糖尿病や脂肪肝などの生活習慣病を発症した。さらに、過剰なオートファジーは、脂肪細胞機能に重要な働きのあるSRC-1とTIF2という2つのタンパク質を分解し、減少させていることが判明した。これにより、脂肪細胞の分化や機能に重要な働きをしているPPAR γの働きが弱まり、脂肪細胞の機能が低下して生活習慣病を引き起こすと考えられる。

研究の意義と将来展望

我々は、Rubicon が基底レベルのオートファジーが過剰になることを防ぐことにより、脂肪細胞の機能と全身性の代謝の恒常性の適切な維持に不可欠な役割を果たしていることを明らかにした。加齢に伴い脂肪細胞のRubicon が減少し、オートファジーが過剰になり、その結果、脂肪細胞の機能が低下し、生活習慣病が引き起こされる。脂肪細胞に対するオートファジー阻害が生活習慣病の新たな治療戦略となることが期待される。

担当研究者

教授 吉森 保(生命機能研究科細胞内膜動態研究室/医学系研究科遺伝学教室)

※本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2016/xoguhw/
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2017/g005753/
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2017/g005752/
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2015/201503_01/

キーワード

オートファジー/生活習慣病/老化/Rubicon/創薬

応用分野

創薬/ヘルスケア

参考URL

https://yoshimori-lab.com/

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2022(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。