研究

最終更新日:

末梢血を用いたがん免疫療法効果予測診断法の開発

特任講師 岩堀 幸太(医学系研究科)

  • 医歯薬生命系
  • 医学系研究科・医学部(医学専攻)

研究の概要

 当研究グループは、T細胞とがん細胞株両方に結合する分子BiTEを用いて、非小細胞肺がん患者の治療前末梢血中のT細胞のがん細胞株に対する傷害活性を測定することにより、抗PD-1抗体の治療効果を予測できる可能性を見出した。
 近年、抗PD-1抗体などの免疫チェックポイント阻害剤を用いたがん免疫療法の有効性が明らかになり、様々ながんに適用が広がるとともに新たな免疫チェックポイント阻害剤の開発も進んでいる。しかしながら、すべての患者さんに免疫チェックポイント阻害剤の効果がみられるというわけではないため、効果が期待できるかどうかを治療前に把握することは重要である。現状のPD-L1染色診断法では免疫チェックポイント阻害剤の効果予測診断能は十分とはいえず、より感度・特異度の高い診断法の開発が望まれている。本診断法はがん免疫療法の重要な作用点であるT細胞のがん細胞傷害活性を直接測定する機能解析法という特徴を有しており、末梢血で診断可能なことから患者への負担も軽く競争優位性がある。

社会実装に向けた将来展望

各製薬メーカーは免疫チェックポイント阻害剤のコンパニオン診断薬開発を急ピッチで進めているが、現状効果的な製品の上市はない。本研究では、事業会社と連携して診断薬キット化を進めており、今後は臨床性能試験を進め免疫チェックポイント阻害剤のコンパニオン診断薬としての実用化を目指している。

担当研究者

特任講師 岩堀 幸太(医学系研究科)

キーワード

がん免疫療法/免疫チェックポイント阻害薬/T細胞/コンパニオン診断薬

参考URL

https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2019/20190222_1

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2022(社会実装を目指す)より抜粋したものです。