研究

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ウイルス人工合成技術を用いた経口ワクチンベクター、 ガン治療ワクチンの開発

教授 小林 剛(微生物病研究所)

  • 医歯薬生命系
  • 微生物病研究所

研究の概要

小林研究室では、独自に開発したウイルス人工合成技術を用いて、新規ワクチンや経口投与可能なウイルスベクター、腫瘍溶解性ウイルスの研究開発を行っている。
ロタウイルスは乳幼児に下痢や嘔吐を引き起こすウイルスで、開発途上国では、ロタウイルス感染によって死亡する乳幼児が多く存在している。現在、弱毒化した経口生ワクチンが世界的に利用されており、ロタウイルスによる乳幼児の死亡率低下に貢献している。一方で、感染力が強く、容易に拡大するロタウイルスには、より安価で予防効果を向上させた新規ワクチンの開発も望まれている。小林研究室は、ロタウイルスの11分節のRNAゲノムを発現するプラスミドに加えて、ウイルスの人工合成を促進する2種類の因子を利用し、組換えロタウイルスの人工合成技術の開発に成功した。
また哺乳類レオウイルス(MRV)は、腫瘍細胞で選択的に増殖し、腫瘍細胞を溶解することから、頭頸部癌、乳癌、膵臓癌等の治療を目的とした、腫瘍溶解性ウイルスとしての研究が進んでいる。

(図1) ロタウイルスの人工合成技術
(図2) 新規ロタウイルスワクチンの開発
(図3) 経口投与型ロタウイルスベクターの開発
(図4) 腫瘍溶解性レオウイルスの開発

社会実装に向けた将来展望

ウイルス人工合成技術は、新規ワクチンの開発はもちろん、そのベクター機能を活用して、粘膜免疫を効果的に誘導できる経口投与型のドラック・デリバリー・システムとしても応用が可能である。
またMRVの人工合成技術を導入・駆使することで、より安全で治療効果の高い腫瘍溶解性MRVの開発が可能と考えられる。

担当研究者

教授 小林 剛(微生物病研究所)

キーワード

ロタウイルス/レオウイルス/人工合成/ワクチン/ウイルスベクター/癌治療

参考URL

http://www.biken.osaka-u.ac.jp/laboratories/detail/16

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2022(社会実装を目指す)より抜粋したものです。