研究

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導電性ダイヤモンドを用いた薬物センシングシステム

教授 日比野 浩(医学系研究科 統合薬理学)

  • 医歯薬生命系
  • 医学系研究科・医学部(医学専攻)

研究の概要

生体に投与された薬物は、標的組織における濃度動態に依存した主・副作用を引き起こす。これらを予測するには、時々刻々と変化する局所の薬物濃度を知る必要があるが、体液サンプリングに基づく既存の分析方法では難しい。我々は、慶應義塾大学理工学部化学科 栄長研究室との共同研究で、導電性ダイヤモンドを針状電気化学センサとして応用し、in vivo薬物計測システムを開発した。本センサは、他の電極材料に比べて①背景ノイズが小さく、高感度に測定できる、②物理化学的に安定で生体内測定に応用できるといった特徴がある。また、③先端径が微小で侵襲性も低い。これまでに、ラット脳局所における抗てんかん薬の濃度と神経活動を秒単位の時間分解能で捉えたほか、蝸牛や筋肉における薬物計測にも成功している。

社会実装に向けた将来展望

抗がん薬や抗菌薬といった一部の薬について、薬物動態の個人差による薬効の不足や重篤な副作用の発現が問題となっている。薬物濃度動態の詳細な把握と、それに基づいた個別の投薬制御が求められているが、既存の手法では時間やコスト面から頻回な濃度測定は難しい。我々は、ダイヤモンド電極を用いて、その場で少量の血液から薬物濃度を迅速定量できるポータプルシステムや、リアルタイム薬物計測を実現するウェアラブルセンサの開発に取り組んでいる。

担当研究者

教授 日比野 浩(医学系研究科 統合薬理学)

キーワード

薬物センシング/電気化学/個別化医療/ダイヤモンドセンサ

参考URL

https://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/pharma2/welcome

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2022(社会実装を目指す)より抜粋したものです。