研究

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体性血管内皮幹細胞を用いた血管再生療法の開発

教授 髙倉 伸幸(微生物病研究所 情報伝達分野)

  • 医歯薬生命系
  • 微生物病研究所

研究の概要

既存の血管の中には、臓器特異的な血管構造や血管機能を維持し、障害を受けた際には速やかに血管を再構築する血管内皮幹細胞が存在することを我々は発見してきた。近年、single cell RNA sequenceによる各臓器の組織細胞の遺伝子解析が旺盛に行われているが、血管内皮細胞の中にも、動脈、静脈、毛細血管にとどまらず臓器特有の機能を果たす血管内皮細胞が存在しており、このような血管内皮細胞の異種性が血管内皮幹細胞により維持されていると考えられる。我々は、漠然と血管を再生するという治療法ではなく、このような異種性を考慮した血管再生の方法論を構築している。

CD157・CD200陽性の内皮細胞は一細胞による血管再生能を示し、この細胞が血管内皮幹細胞であることを階層性解析で証明した

社会実装に向けた将来展望

血管内皮幹細胞の発生・自己複製・加齢性変化・ニッチなどまだ不明の点が多いが、これらが明らかになることで、血管の再生、アンジオクライン機構を利用した臓器再生など、医学的応用に大いに貢献が期待される細胞であると考えられる。基礎医学的な解析を元に、そして血管内皮幹細胞の作成技術など大阪大学の知財を活用したベンチャー企業の設立を果たしたい。

肝臓に移植されたCD157陽性血管内皮幹細胞は類洞血管に貢献し、凝固第VIII因子の産生を持続して血友病を完全に治癒させる

担当研究者

教授 髙倉 伸幸(微生物病研究所 情報伝達分野)

※本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2018/j1b8tt/

キーワード

再生/血管/幹細胞

参考URL

http://st.biken.osaka-u.ac.jp/

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2022(社会実装を目指す)より抜粋したものです。